「寒い冬、車の暖房を何度に設定すればいいのか迷う」という問いについて、意外と答えを持っていないのが現状です。
実は、多くのドライバーが「とにかく最高温度で全開にすればいい」と誤解していますが、それは燃費を悪化させ、車内を乾燥させる原因かもしれません。
この記事では、推奨する25℃設定の理由から、燃費をまもるA/Cボタンの正しい使いわけ、さらには暖房効率を上げる風向きのコツまで、冬のドライブを快適にする秘訣を詳しく解説します。
車の暖房を何度にするかという単純な設定ひとつで、ガソリン代と快適性が変わることをぜひ知ってください。
記事のポイント
車の暖房は、「25℃前後」の設定が最適
暖房は排熱を利用するためA/Cオフが基本!燃費をおさえるコツ
温まり始めは「内気」、適温になったら「外気」
風向きは「足元」が鉄則!暖かい空気の性質を活かして効率アップ
効きが悪いときはフィルターの汚れやサーモスタットの故障を疑う
目 次
車の暖房は何度に設定するのがいいか?

日本の自動車メーカーがオートエアコンを設計する際、おおくの車種で25℃付近を基準として、車内全体がもっとも効率よく快適な温度分布になるようプログラミングされています。
冬場、のりこんだ直後はマイナスにちかい気温であることも珍しくありませんが、だからといって設定を30℃などの「Hi」にする必要はありません。オートエアコンであれば、設定が25℃でも「今は寒い」と車が判断し、エンジンが温まり次第、最大火力で温めてくれます。
25℃を目安にし、あとは着衣の調整や、装備されていればシートヒーターを活用するのが、最も賢く、体にやさしい設定といえるでしょう。
冬の車の暖房温度は何度設定がいい?
家庭用エアコンとおなじく「25℃前後」に設定するのがもっともバランスが良いです。
なぜこの温度かというと、自動車メーカーが空調システムを設計する際、標準的な快適指標として25℃を基準にオートエアコンの制御を組んでいることがおおいからです。
冬場の車内は、外気温が0℃近いばあいもあり、のりこんだ直後は非常に過酷な環境です。しかし、人間の体感温度としては、25℃もあれば十分に暖かく感じられます。これ以上に設定を上げすぎると、車内が乾燥しすぎてのどを痛めたり、頭がぼーっとして眠気を誘発したりする原因になります。
安全運転の観点からも、「暑すぎず寒すぎない」25℃設定を基本に、あとは着ている服の厚みで調整することがおすすめです。
車暖房の付け方のアドバイス

暖房のつけかたで一番やってはいけないのが「エンジンをかけてすぐにA/Cボタンをポチッとおして、風量を最大にする」ことです。
実はこれ、まったく意味がありません。家庭のエアコンとちがって、車の暖房は「エンジンの排熱(冷却水の熱)」を利用しています。
エンジンをかけた直後の冷却水はまだ冷たいままです。その状態でファンをまわしても、冷たい風がいきおいよくでてくるだけで、車内を冷やす結果になります。おまけに、温まっていないエンジンに負荷をかけるので効率も悪いです。
賢いつけかたは、「水温計の針が少しうごくか、青い水温ランプが消えるまで待つ」こと。それまではシートヒーターやステアリングヒーターがあるならそちらを優先しましょう。
最近の車はアイドリングストップ機能も関係してくるので、賢い使いわけが重要です。
車暖房は最高温度にした方がいい?
「一刻もはやく温めたいから「Hi(最高温度)」にする!」という方がおおいと思いますが、これはあまりおすすめしません。
オートエアコンのばあい、設定温度を最高にすると、システムは「目標温度に達していない」と判断し、エンジンが温まりきる前からファンを最大出力で回そうとします。
熱源である冷却水が温まっていないうちに最大風量で風をおくると、逆に冷却水の温度があがるのを遅らせてしまい、結果として「温風がでるまでの時間がのびる」という本末転倒な事態をまねきます。
また、最高温度設定で固定してしまうと、車内が温まってからもつねに熱風が出つづけるため、燃費の悪化や過度の乾燥をまねきます。25℃設定にしておけば、オート機能が「今は全開で温める」「温まったから風を弱める」と賢く判断してくれるので、機械にまかせるのが一番の近道です。
暖房を26度にしても寒いのはなぜ?
25℃や26℃に設定しているのに、なかなか足元が温まらない…
これにはいくつか理由がありますが、代表的なのは「外気導入のまま」にしているケースです。外の冷たい空気をつねにとりこんでいると、ヒーターコア(熱交換器)で温めきれずに、体感温度が下がってしまいます。
もう一つの理由は、温風の吹きだし口の設定です。暖かい空気は「下から上へ」移動する性質があります。もし風向きが「顔(Face)」や「窓(Def)」に向いていると、肝心の足元が冷えたままになり、体全体が寒く感じます。
もし設定温度を上げても寒いと感じるばあいは、車自体のトラブル(サーモスタットの故障など)で、冷却水が適切な温度まで上がっていない可能性もあります。
車の暖房は何度が燃費いい?

「エアコンをつけると燃費が悪くなる」というのは冷房の話で、暖房はすこし事情が違います。車の暖房はエンジンの「捨てている熱」を使っているため、基本的には温度を何度に設定しても燃費におおきな影響はありません。
ただし、「A/Cボタン」がONになっていると話は別です。A/Cボタンはコンプレッサー(除湿・冷却装置)をうごかすためのスイッチで、これをONにするとエンジンのパワーを食うため、確実に燃費が落ちます。
暖房効率だけでいえば、A/CはOFF、設定温度は25℃程度、エンジンが温まってからファンを回す、というのが最もエコです。燃料価格が高騰している現在、こうしたこまかい知識が家計をたすけます。
車の暖房は何度に設定するのがいいか?│A/Cと暖房、循環の向きは?

温度設定が決まったら、次に大事なのが「スイッチと空気の流れ」のコントロールです。ここを間違えると、暖房効率が下がるだけでなく、窓がくもって安全運転に支障をきたします。
「冬の暖房にA/C(コンプレッサー)は原則不要」です。家庭用エアコンと違い、車の暖房はエンジンの排熱を利用するため、A/Cを切っていても温風はでます。A/CをONにするのは、除湿が必要な「雨の日」や「窓がくもったとき」だけで十分。
また、「外気導入」が基本です。ただし、「走りだしの5分間」だけは内気循環にするのがおすすめ。外の冷気を遮断して車内の空気をまわすことで、温風がでるまでの時間を短縮できます。温まったらすぐに外気導入に戻しましょう。
車の暖房にA/Cは必要?

窓がくもっていなければOFFでOKです。A/Cボタンは冷房と除湿のためのスイッチです。冬場は外気が乾燥しているため、多くのばあいはA/Cを入れなくても暖房だけで快適にすごせます。
ただし、雨の日や大人数が乗車した際、自分の吐息でフロントガラスがくもることがありますよね。これは車内の湿度がたかくなっている証拠。このときばかりはA/CボタンをONにしてください。除湿機能が働き、あっという間に視界がクリアになります。
くもったらON、晴れて乾燥していればOFF、という使い分けがおすすめです。
風向きの設定はどうするのが正解?
冬の風向きは足元(Foot)一択です。暖かい空気は上へのぼり、冷たい空気は下にたまります。足元を温めれば、その熱が自然と車内全体をつつみこむように上がっていくため、効率的に車内全体が温まります。
逆に顔に直接温風をあててしまうと、目が乾いてドライアイになったり、顔だけが火照って判断力がにぶったりします。足元を温めることで血流がよくなり、体全体がポカポカしてくるので、基本は足元。
フロントガラスがくもったときだけ、足元&デフロスターの併用モードにきりかえるのが黄金パターンです。
冬は内気循環と外気導入のどっちがいい?

基本は外気導入ですが、温めはじめだけ内気循環にするのが正解です。
のりだし直後のキンキンに冷えた車内をはやく温めるには、外の冷気を遮断して、車内の空気を再利用して温める内気循環が早いです。
しかし、そのまま内気循環で走りつづけると、密閉された車内では二酸化炭素濃度が急上昇します。また、湿気がこもって窓もくもりやすくなります。
車内が適温になったら、すぐに外気導入にきりかえて、新鮮な空気をとりこみましょう。最近は自動できりかえてくれる車も増えていますが、意識して操作するだけで安全性はグッとたかまります。
フィルターの汚れは暖房効率を落とす
家庭のエアコンなら「効きが悪いな」と思ったらすぐにフィルターを掃除しますよね?でも、なぜか車のフィルターとなると、数年間一度も開けたことがないという方がおおいのが実情です。
エアコンフィルターは、外気からとりこむホコリや花粉、排気ガスの微粒子をブロックする、いわば「車のマスク」です。このフィルターが目づまりをおこすと、ブロアファンがいくら一生懸命まわっても、風のとおり道がふさがれているため、肝心の温風が車内まで十分にとどきません。
その結果、本来ならすぐに温まるはずの車内がいつまでも冷えたままになり、無意識に設定温度を上げたり風量を最大にしたりして、余計なエネルギーを消費することになります。
おおくの車種において、フィルター交換の目安は「走行1万kmごと」または「1年に1回」です。交換自体は助手席のグローブボックスの奥などにあることがおおく、数分で終わる作業です。
本格的な冬がきて暖房をフル稼働させるまえに、まずは「風の入り口」をリフレッシュしましょう。風の勢いがもどり、暖房の効きが劇的に良くなります。
車の暖房が効かない原因は?

最後に、いくら設定をいじっても暖房が効かないばあいのトラブルについて。一番おおいのはサーモスタットの故障です。これが壊れて開きっぱなしになると、冷却水がオーバークール(冷えすぎ)状態になり、いつまでたっても温風がでません。
つぎに考えられるのが、冷却水(LLC)の不足。熱を運ぶ液体が足りなければ、当然暖房は効きません。これは、エンジンを焼き付かせるオーバーヒートにもつながるので、早急な対応が必要です。
また、長年乗っている車だと、ヒーターコアという部品が詰まっていることもあります。もし「去年より明らかに温まりが遅い」と感じたら、それは機械のSOSかもしれません。冬本番をむかえるまえに、ぜひ点検を受けてください。
車の暖房は何度に設定するのがいい?│総括
この記事では、「車の暖房を何度に設定するのが効率的なのか?」について掘りさげてきました。
排熱を利用する暖房のしくみを理解し、25℃前後の設定とA/Cオフ、そして足元への風向きを意識するだけで、あなたのカーライフはもっと賢く快適になります。
冬の寒さは厳しいですが、正しい知識があれば、愛車は最高のリラックス空間に変わります。
「車の暖房を何度にしても効きが悪い」と感じるときは、故障やフィルター詰まりの可能性もありますので、早めに専門家に相談してください。