冬の到来とともに、多くのドライバーが雪道や凍結路面での安全な走行に頭を悩ませます。
特に前輪駆動車(FF車)のオーナーの皆さまにとって、タイヤチェーンの適切な使用は重要な課題です。
前輪駆動車におけるタイヤチェーンの適切な装着方法、その効果と注意点、さらにはスタッドレスタイヤとの比較など、冬の安全運転に欠かせない情報をご紹介します。
ベテランドライバーの方も、初めて冬道に挑戦する方も、ぜひ最後までお読みください。
安全で快適な冬のドライブをサポートする知識が満載です。
記事のポイント
タイヤチェーンは駆動輪につける
タイヤチェーンをつけっぱなしで走行するとどうなる?
タイヤチェーンは金属と非金属どっちがいい?
チェーンとスタッドレスどっちが滑らない?
タイヤチェーンの注意点は?
目 次
前輪駆動車のタイヤチェーン|どこにつける?

雪が降ると、スタッドレスタイヤへの交換だけでなく、タイヤチェーンの装着が必要になる場合もありますよね。
ですが、「タイヤチェーンって、どこにつければいいか迷ってしまう…」という方も多いのではないでしょうか?
特に、普段あまり雪が降らない地域にお住まいの方や、運転に慣れていない方は、悩ましい問題だと思います。
結論からお伝えすると、FF車のタイヤチェーンは「前輪」に装着しましょう。
前輪駆動のタイヤチェーンはどっちにつける?
FF車は前輪が駆動輪、つまり車を動かすための力を持つタイヤです。
前輪に装着することで、雪道でもスムーズな発進や走行を確保しやすくなります。
これには以下の理由があります。
・駆動力の確保
雪道や凍結路面では、前輪が空転しやすくなります。
前輪にチェーンを装着することで、タイヤと路面の接地力が向上し、空転を防ぎます。
・操縦安定性の向上
前輪にチェーンを装着することで、ステアリング操作の効きが良くなり、雪道での操縦安定性が向上します
・発進、加速性能の改善
駆動輪にチェーンを装着することで、雪上での発進や加速がスムーズになります。
4輪チェーンでより高い安全性

一方で、状況によっては後輪にもチェーンを装着することが推奨される場合があります。
・深雪時
特に厳しい雪道条件下では、4輪全てにチェーンを装着することで、より高い安全性が確保できます。
・荷物積載時
後部に重い荷物を積んでいる場合、カーブで車体後部が横に流れてしまうという危険性があります。
重量バランスの変化により、後輪にもチェーンが必要になることがあります。
・坂の多い地域
チェーンを後輪にも装着することで、ブレーキ性能とハンドリング性能をさらに向上させることができます
安全性を最優先に考えると、条件が許す限り4本装着が理想的です。
4WD車の場合、タイヤチェーンは前輪後輪どっち?
4WD(四輪駆動)車を運転する際の冬装備の一環として、タイヤチェーンの装着が気になるところです。
通常、4WD車は全輪に動力が伝わるため、雪やアイスバーンでの走行性能は高いですが、それでも険しい状況や法的要件によってチェーンの装着が必要になる場合があります。
タイヤチェーンを装着する最適な位置は、車のタイプと目的によって異なります。
一般的には、以下を参考にすると良いでしょう。
- 前輪優先
現代の多くの4WD車は、通常運転時に前輪に優先的に駆動力を配分することが多いです。
このため、タイヤチェーンは前輪に装着するのが一般的です。
前輪に装着することで、ステアリングと制動のコントロールを強化することができます。 - 全輪装着も検討
極端な積雪や凍結状況で走行する場合、全輪にチェーンを装着することで、車両の安定性とトラクションが最大限に高まります。
ただし、全輪装着は時間と手間がかかるため、その必要性は状況に応じて判断しましょう。 - マニュアル確認
車種によってはメーカーの推奨が異なる場合もありますので、必ず車両の取扱説明書を確認し、指定された装着方法に従いましょう。
4WDならではのメリットを活かし、多様な路面状況に適応できることが求められますが、チェーン装着は慎重に行うことで、安全・安心な冬のドライブを楽しむことができます。
スノーソックスはどっちに付ける?
スノーソックスは基本的に「駆動輪」に装着することが重要です。
前輪駆動車の場合は、その名の通り前輪が駆動輪なので、スノーソックスは前輪に装着します。
これは、駆動力がかかるタイヤにスリップ防止の布製カバーを装着することで、雪道や凍結路面でのトラクション(駆動力)を確保し、安全に走行するためです。
装着方法としては、スノーソックスの表裏を確認し(裏側にはラベルタグがついています)、表側を外側にして、駆動輪の上部からタイヤにかぶせていきます。
タイヤの奥側のサイドウォールにしっかり引っかかるように装着し、下方に向かってタイヤの半分以上を覆うように広げるのがポイントです。
その後、車をゆっくりタイヤ半周分進めて、かかっていない部分もしっかりと被せます。
最後に走行中にスノーソックスがズレていないか確認してください。
なお、4WD車でも前輪駆動ベースの場合は前輪に装着し、後輪駆動ベースの場合は後輪に装着するのが基本なので、駆動輪の確認が必要です。
タイヤチェーンをつけっぱなしで走行するとどうなる?
・タイヤチェーンの摩耗
雪や氷のない舗装路を走行することが続くと、タイヤチェーンの耐久性が低下します。
特に、乾燥した舗装路では摩耗が激しくなります。
・車への負担が大きくなる
まず、タイヤチェーン自体が重たいので、車に負担がかかります。
タイヤやホイールを傷つけるだけでなく、サスペンションや車軸にも負担がかかります。
・乗り心地が悪化し、燃費も悪化する
次に、乗り心地が悪化します。
チェーンが路面を叩く音がうるさくなるだけでなく、振動も大きくなってしまいます。
また、抵抗が増えることで燃費が悪化することも避けられません。
・早期劣化
タイヤチェーンの寿命は通常5〜10年程度ですが短くなる可能性があります。
タイヤチェーンは雪道や凍結路など、必要な状況でのみ使用し、通常の路面では外すようにしましょう。
日常的な冬の走行には、スタッドレスタイヤの使用が適しています。
タイヤチェーン 何個つける?
雪道走行に欠かせないアイテム、タイヤチェーン。
しかし、「チェーンって全部のタイヤにつけるべきなの?」「2個だけでも大丈夫って聞いたけど…」と、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか?
タイヤチェーンは、駆動輪2本に取り付けるのが基本です。
ただし、駆動輪2本だけに取り付ける「二輪装着」は、安定性に欠けるという側面も持ち合わせています。
しかし4輪全てにタイヤチェーンを取り付けるのは、非常に手間がかかりますし、運送のプロでもない限り駆動輪2本に装着するようにしましょう。
前輪駆動車のタイヤチェーン|特徴やメリット、デメリット

タイヤチェーンといっても、さまざまな種類があります。
選ぶ際には迷ってしまいますよね。
それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説しましたので、参考にしてください。
タイヤチェーンは金属と非金属どっちがいい?
タイヤチェーンを選ぶ際、金属製と非金属製がありますが、どちらを選べばよいのでしょうか?
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ユーザーの重視するポイントに合わせて選ぶのが一番です。
金属製チェーン
・メリット
何と言っても凍結路に強い!グリップ力に優れ、凍結した急な坂道でも安心して走行できます。
価格が比較的安く、耐久性が高いのも魅力です。
・デメリット
走行中に振動や騒音が大きく、乗り心地が悪化します。
重量があり、取り付け取り外しが大変な場合もあります。
非金属製チェーン
・メリット
非金属製のチェーンは、金属製に比べて振動や騒音が少なく、乗り心地が良好です。
特に、布製のスノーソックスやゴム製のチェーンは、快適な走行が可能です。
軽量で、取り付け取り外しが比較的簡単です。
・デメリット
凍結路でのグリップ力は金属製に劣ります。
金属製に比べて価格が高いことが多いです。
また、耐久性が金属製より劣る場合もあります。
もし、頻繁に雪道や凍結路を走行される方や、急な坂道を走行する機会が多い方は、グリップ力に優れた金属製チェーンをおすすめします。
一方、雪道走行の機会が少ない方や、騒音や振動を抑えたい方、取り付け取り外しの負担を減らしたい方は、快適性の高い非金属製チェーンが良いでしょう。
チェーンとスタッドレスどっちが滑らない?
凍結路などの氷上でのグリップ力は、チェーンの方が勝ります。
チェーンは金属が氷を噛むため、圧倒的なグリップ力を発揮します。
急な坂道が多い地域や、凍結が厳しい地域では、チェーンは心強い味方になります。
一方、スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路面でのグリップ力はもちろん、乾いた路面での走行性能や静粛性にも優れています。
雪が降るかもしれない地域に住んでいて、雪道と乾いた路面を頻繁に行き来する場合は、スタッドレスタイヤの方が便利です。
チェーン
・メリット
凍結路でのグリップ力は最強!
特に、アイスバーンや新雪の状態では、チェーンの方が優れた性能を発揮します。
・デメリット
装着が面倒、速度は出せない、騒音・振動が大きい。
スタッドレスタイヤ
・メリット
雪道以外でも走行性能が高い、静かで快適。
・デメリット
チェーンほどのグリップ力はない。
価格が高額になる。
チェーンとスタッドレスタイヤの滑りにくさを比較すると、一般的にはチェーンの方が滑りにくいと言えます。
ただし、どちらがより滑りにくいというのは状況によります。
チェーンは凍結路面でのトラクションを向上させる効果が高い一方、スタッドレスタイヤは雪や凍結路面でのグリップ力が高いです。
そのため、使用状況や地域の気候条件に合わせて、適切な装備を選択する必要があります。
タイヤチェーン駆動の利点は何ですか?
・雪上や凍結路面でのトラクション向上
タイヤチェーンを装着することで、タイヤと路面の摩擦力が増すため、雪や凍結路面において滑りにくくなります。
車両の走行安定性が向上し、スリップやスピンアウトを防止する効果があります。
・登坂時や急坂での走行補助
特に急な坂道や登坂時には、タイヤチェーンが車輪にしっかりとグリップしてくれるため、車両が滑るリスクを軽減してくれます。
運転者は、安全かつ効果的に坂道を登ることができます。
・非常時の緊急対応
突然の降雪や凍結路面に遭遇した際、タイヤチェーンを装着することで、緊急時にも進行することが可能になります。
タイヤチェーンは、急激な気候変化や天候の悪化に対応するための頼れる装備です。
・車両の走行安定性向上
タイヤチェーンがタイヤと路面をしっかりと繋ぐことで、スリップやハンドリングの不安定さを軽減し、車両の運転安定性を向上させます。
運転者のコントロール力が強化され、安全な運転が期待できます。
・購入費用が安い
スタッドレスタイヤと比べて3000円程度でも買え、購入費用が抑えられる点も魅力です。
・チェーン規制への対応
冬季の高速道路や、山道でのチェーン規制に対応できます。
チェーンの欠点は何ですか?
・取り付けや取り外しが煩雑
タイヤチェーンを装着する際には、タイヤの外側に巻きつける必要があります。
この作業は難しく、寒い状況や凍結路面での取り付け作業は特に困難です。
また、車が低い場合やタイヤが大きい場合には、取り付けがさらに面倒になることもあります。
・走行中の振動や騒音
走行中にチェーンが路面と接触することで「ジャラジャラ」という音が発生します。
また、振動も大きくなってしまうため、快適なドライブの妨げになることがあります。
車内の乗り心地が悪くなったり、周囲の騒音が気になる可能性があります。
・速度制限
タイヤチェーンを装着すると、速度制限があります。
一般的には時速40~50km程度に制限されますので、高速道路などでは使用できません。
・乾燥路での使用制限
タイヤチェーンは、乾燥した路面での使用が推奨されていません。
乾燥路を走行すると、チェーンが摩耗する原因になることがあります。
そのため、雪道や凍結路以外では使用しない方が安全です。
チェーンの注意点は何ですか?
・車種による違い
車種によってはチェーン装着が推奨されない場合があるため、必ず取扱説明書を確認してください。
・適切なサイズ選択
タイヤサイズに合ったチェーンを選択することが重要です。
・装着後の運転
チェーン装着後は、通常より低速で慎重に運転する必要があります。
また、少しの走行後、緩みがないか確認することも大切です。
・取り外しのタイミング
雪道や凍結路を出たら、速やかにタイヤチェーンを取り外すことが重要です。
乾いた路面での走行は、タイヤや車両にダメージを与える可能性があります。
総括│前輪駆動車のタイヤチェーン
雪道走行に備え、FF車オーナーならタイヤチェーンの知識は必須です!
本記事では、FF車にタイヤチェーンを装着する際の注意点や選び方について解説しました。
FF車は駆動力が前輪にかかるため、前輪にチェーンを装着するのが基本です。
装着時のポイントは、駆動輪、つまり前輪に装着すること!
タイヤサイズに合ったものを選び、説明書をよく読んでから作業しましょう。
チェーンの種類は、金属製と非金属製があります。
金属製は安価でグリップ力に優れますが、騒音や振動が大きめです。
非金属製は高価ですが、静かで乗り心地が良く、取り付けも簡単です。
走行する地域や道路状況、頻度に応じて最適なタイプを選びましょう。
装着後は、安全のため速度を控えめにし、車間距離を十分に保って走行することが大切です。
また、雪道以外ではチェーンを外し、路面やタイヤへのダメージを防ぎましょう。
