ラジエーターはエンジンの熱を効率よく冷却する重要なパーツですが、劣化や破損が進むと交換が必要になります。最近では「ラジエーターの交換を自分でやってみたい」という声も増えていますが、実際に自分で交換するのは可能なのでしょうか?
本記事では、ラジエーターの仕組みや交換手順、注意点を踏まえながら、自分で交換できるかどうかを解説していきます。これからDIYに挑戦しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
記事のポイント
ラジエーター交換は基本的知識と工具があれば自分で可能だが経験者向け
冷却水漏れ、オーバーヒート、異臭が出たら交換を検討すべき
交換後はエンジン冷却性能が回復し、オーバーヒートリスクが低下する
国産車は3万~10万円、輸入車は7万~15万円以上の費用が必要
エア抜きが不十分だと冷却不良になるため、正確な手順が重要
目 次
ラジエーターコアの交換は自分でも可能なの?

ラジエーターコアの交換は、一定のメカニカルスキルと適切なツールがあれば自分でも可能な作業です。DIYでの整備は、費用を抑えられ、車への愛着も深まる素晴らしい趣味ですが、不安がある場合は、プロに任せることをお勧めします。
ラジエーターコアの交換はDIYで可能?
ラジエーターコアの交換は、整備経験がある方や、工具や手順をしっかり調べて準備できる方であれば、自分でチャレンジすることは可能です。実際にネット上には、多くのDIY愛好家がラジエーターコアの交換に成功した記録や動画が公開されています。
交換の手順としては、まずクーラントを抜き、ラジエーターに接続されているホース類や電装系のコネクタを外します。その後、ラジエーターを固定しているステーやクリップを外し、ラジエーター本体を車体から抜き取ります。新しいラジエーターコアを同じ手順で取り付け、ホースやコネクタを元に戻し、クーラントを補充してエア抜きを行います。
ただし、ラジエーターは車両の前面にあり、エアコンコンデンサーやファン、他の部品と干渉している場合が多く、狭いスペースでの作業になることがあります。また、クーラント漏れやエア噛みを防ぐため、接続部の確認やエア抜きの手順は丁寧に行う必要があります。
知識や経験が十分でない場合、作業中に思わぬトラブル(例:クーラント漏れ、エア噛みによるオーバーヒート)が発生する可能性もあります。そのため、初めての方は、事前に詳しい手順や注意点を調べ、不安な点は専門店に相談するか、プロの整備士に依頼することをおすすめします。
車のラジエーター交換を検討すべきサインは?

ラジエーターはエンジンの冷却に欠かせない部品ですが、目に見えない劣化が進むことも多く、以下のようなサインが現れた場合は、ラジエーターの交換を検討すべきです。
1. 冷却水(クーラント)の漏れや減少
ラジエーター本体や接続ホースから冷却水が漏れている、あるいは定期的に補充が必要になる場合は、ラジエーター内部の腐食や亀裂が原因の可能性があります。特に、車の下に赤や緑の液体がたまっている、エンジンルームに水滴がある場合は要注意です。
2. エンジンのオーバーヒート
水温計が「H」(Hot)を指す、エンジンが異常に熱くなる、オーバーヒート警告灯が点灯するといった症状は、ラジエーターの冷却機能が低下しているサインです。放置せずに早急に対応しましょう。
3. 冷却水の色や状態の変化
冷却水が濁っていたり、サビ色やスラッジが混じっている場合は、ラジエーター内部が腐食している可能性があります。冷却水の劣化はラジエーターの寿命を縮めるだけでなく、他の冷却系部品にも悪影響を及ぼします。
4. エンジンルームから異臭や白煙
ラジエーターから冷却水が蒸発し、エンジンルームから甘い臭いや白煙がする場合、冷却水が漏れて高温部で蒸発しているサインです。これはラジエーターの亀裂や接続部の劣化が原因です。
5. エンジンの不調や回転数の不安定さ
冷却性能が低下すると、エンジンが最適な温度を保てず、アイドリングが不安定になったり、加速が鈍くなることがあります。これはラジエーターの交換が必要なサインの一つです。
6. ラジエーター本体の外観劣化
ラジエーターのフィン(薄い金属の羽)が折れていたり、サビや腐食が目立つ場合、冷却効率が低下しています。見た目でも異常が確認できる場合は、交換を検討しましょう。
ラジエーターの交換効果について

ラジエーターを交換することで、車の冷却性能が大きく回復し、エンジンの信頼性や走行性能が向上します。具体的な交換効果は以下の通りです。
1. エンジンの冷却性能が回復する
古くなったラジエーターは内部にサビやスラッジ(不純物)がたまり、冷却水の流れが悪くなるため、エンジンの冷却効率が低下します。新品のラジエーターに交換することで、冷却水がスムーズに循環し、エンジンが常に最適な温度を保てるようになります。
2. オーバーヒートのリスクが大幅に低下
冷却性能が低下したラジエーターでは、特に夏場や長時間の走行時にエンジンがオーバーヒートしやすくなります。新品に交換することで、オーバーヒートのリスクが大幅に減り、エンジンの損傷や故障を未然に防ぐことができます。
3. エンジンの不調や燃費の悪化が改善される
冷却性能が低下すると、エンジンが高温で動作し続けるため、燃費が悪くなったり、アイドリングが不安定になったりすることがあります。ラジエーターを交換することで、エンジンの状態が安定し、燃費や走行性能も改善されることがあります。
4. 冷却水の劣化や漏れを防げる
古いラジエーターは亀裂や腐食が進み、冷却水の漏れや劣化を引き起こすことがあります。新品に交換することで、冷却水の漏れや劣化を防ぎ、冷却システム全体の信頼性が高まります。
5. 他の冷却系部品への負担が軽減される
ラジエーターが劣化していると、ウォーターポンプやサーモスタットなど他の冷却系部品にも負担がかかります。新品のラジエーターに交換することで、他の部品への負担も軽減され、車全体の寿命が延びる効果もあります。
ラジエーター交換代はいくらですか?
ラジエーター交換にかかる費用は、車種やメーカー、整備工場によって大きく異なります。
国産車の交換費用相場
国産車のラジエーター交換費用は、部品代と工賃を合わせて3万円~10万円程度が目安です。その中でも車格によって大きく異なります。
軽自動車の場合、部品代が1万円~3万円程度で、工賃が8,000円~2万円程度となり、合計で2万円~5万円程度が一般的な相場です。
普通車(セダンやコンパクトカーなど)では、部品代が2万円~5万円程度、工賃が1万5,000円~3万円程度となり、合計で5万円~10万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
輸入車・高級車の交換費用
輸入車や高級車の場合、冷却システムがより複雑な設計になっているため、費用がさらに高くなります。ドイツ車(フォルクスワーゲン)などの輸入車では、ラジエーター本体交換だけで8万円~15万円程度かかることもあります。全体的には、輸入車のラジエーター交換は7万円~15万円以上かかる傾向にあります。
交換工期と関連費用
ラジエーター交換の作業時間は通常2~4時間程度で、特に複雑な構造の車種では時間がかかることもあります。
また、ラジエーター交換と同時に以下の関連部品の交換や作業が推奨されることもあります。
- クーラント(冷却水)補充・交換:1,000円~3,000円程度
- ラジエーターキャップ交換:1,000円~2,000円程度
- ラジエーターホース交換:6,000円~3万円程度
- ウォーターポンプ交換:1万円~3万円程度
これらが同時に必要になると、最終的な交換費用が大きく増加することもあります。
費用を抑えるポイント
交換費用は部品の種類(純正品・リビルト品・社外品)の選択によっても異なります。メーカー純正品が最も高く、リビルト品や社外品を選ぶことで費用を抑えられますが、品質や保証の点で検討が必要です。
ラジエーターの交換は自分でできる?│エア抜き、社外品など

冷却水を入れた後は、冷却系統に空気が残らないように「エア抜き」が必要です。また、社外品のラジエーターコアを利用することにより、冷却効率をアップさせることができます。
車の冷却水は自分で交換できますか?

車の冷却水(クーラント)の交換は、基本的な手順を守れば、ある程度の知識と道具があれば自分で行うことが可能です。ただし、作業にはいくつかの注意点があり、経験が浅い方や不安がある場合は、整備工場に依頼するのが安心です。
冷却水交換の基本手順
- エンジンを冷ます
作業の前に必ずエンジンを完全に冷ましてください。熱い状態でラジエーターキャップを開けると、高温の冷却水が噴き出し、やけどをする危険があります。 - 冷却水を抜く
ラジエーター下部にあるドレンボルトを緩めて、古い冷却水を排出します。受け皿を用意し、廃液は適切に処理しましょう。冷却水は有害なので、家庭ごみとして捨てず、整備工場や指定の廃棄場所に持ち込むのが望ましいです。 - 冷却系統の洗浄(推奨)
古い冷却水を抜いた後、水道水や専用洗浄液で冷却系統をすすぎ洗いします。エンジンを数分間アイドリングさせ、循環させた後、再度水を抜きます。この作業を2~3回繰り返すと、内部の汚れやスラッジをしっかり除去できます。 - 新しい冷却水を補充
適切な種類の冷却水を、リザーバータンクやラジエーター口から補充します。このとき、漏斗(じょうご)を使うとこぼれにくく便利です。希釈タイプの場合は、事前に精製水で規定の濃度に薄めてから入れましょう。 - エア抜き
冷却水を入れた後は、冷却系統に空気が残らないように「エア抜き」を行います。ラジエーターキャップを外した状態でエンジンを始動し、アクセルを軽く踏んで回転数を上げると、空気が抜けてきます。冷却水の量が減るので、適宜補充してください。 - 最終確認
すべての作業が終わったら、冷却水の量と漏れがないかを確認し、リザーバータンクのキャップをしっかり閉めて完了です。
自分で交換する際の注意点
- 冷却水は車種によって種類が異なります。前回使っていたものと同じ種類の冷却水を使用してください。異なる種類を混ぜると、化学反応で故障の原因になることがあります。
- 水道水はミネラル分が多く、ラジエーターの目詰まりやサビの原因になるため、洗浄や補充には精製水を使用しましょう。
- エア抜きが不十分だと、冷却水の循環が悪くなり、冷却性能が著しく低下します。
- 作業中に部品の破損や漏れが見つかった場合は、無理に進まず、専門の整備工場に相談してください。
クーラント交換時にエア抜きは必要ですか?
クーラント(冷却水)の交換時には、必ず「エア抜き」作業を行う必要があります。これは、冷却系に空気が混入すると、冷却水の循環が妨げられ、エンジンの冷却性能が著しく低下するためです。
エア抜きが必要な理由
クーラント交換の際、ラジエーターやホース内に空気が残ってしまうことがあります。この空気は「エア噛み」と呼ばれ、冷却水の流れを阻害し、エンジンの冷却効率が低下します。その結果、水温計が異常に振動したり、ヒーターの効きが悪くなったりします。
エア抜きの基本的な手順
- ラジエーターキャップまたはリザーバータンクのキャップを外し、エンジンを始動します。
- エンジンを暖気しながら、冷却水が循環するまでしばらくアイドリングさせます。
- クーラントが循環すると、泡や空気がラジエーターキャップから排出されます。このとき、液面が下がるので、適宜クーラントを補充します。
- エンジンを停止し、完全に冷えてから再度クーラントの量を確認し、足りない場合は補充します。
- キャップをしっかり閉めて作業完了です。
車種によっては、専用のエア抜きバルブが付いているものもあり、その場合はバルブを緩めて空気を排出します。
注意点
- エンジンが熱い状態でキャップを開けると、高温のクーラントが噴き出し、やけどをする危険があります。必ずエンジンを冷ましてから作業を行ってください。
- エア抜き後も、走行後にクーラントの量が減ることがあるので、数日間は液面の確認を怠らないようにしましょう。
- エア抜きが不十分だと、冷却系トラブルの原因になります。不安な場合は、整備工場で確実なエア抜きを依頼することをおすすめします。
冷却性能を高める社外品(チューニングパーツ)の特長

社外品のラジエーターコアは、純正品よりも冷却性能を向上させることを目的に設計されており、主に以下のような特長があります。
1. コアの厚み・層数の増加による冷却容量アップ
社外品ラジエーターは、純正よりも厚みを増したり、冷却水が通るチューブ層を2層、3層と重ねて容量を増やす設計が多いです。これにより冷却水の滞留時間が長くなり、熱をより効率的に放散できるようになります。ただし厚みが増すと設置スペースや車体の取り回しに制約が出るため、車種ごとの確認が必要です。
2. アルミ合金材料の採用による熱伝導率向上と軽量化
多くの社外品は熱伝導性の高いアルミニウム合金製で、熱の伝わりやすさと軽量性を両立しています。これはエンジンの効率的な冷却と車両の軽量化に貢献します。
3. フィン形状の最適化による放熱性能向上
冷却水の熱を大気に効率よく放散するため、社外品はフィン(冷却効率を左右する細かいヒダ)の形状や配置を工夫しています。コルゲートフィン(波形)とプレートフィン(板状)を組み合わせ、走行風をムラなく当てる設計がされており、冷却面積の最大化を狙います。
4. 大容量でも無駄を抑えた「適材適所」の設計思想
単に大型化すれば良いわけではなく、低社外品速での走行や渋滞時に空気の流れが不足すると冷却性能が活かせません。社外品は冷却性能を最大化しつつ、エンジンや車体全体の熱バランスを考えた設計が重要視されており、厚みや入口・出口のチューブ設計、ファンの活用など細部の最適化がなされています。
5. サーキット走行やチューニング車両向けの耐熱・耐圧性能強化
過給器付きや高出力チューニングエンジン搭載車では、エンジンから発せられる熱量が増加します。社外品ラジエーターは、冷却水の圧力や温度上昇に耐えるため、強化されたラジエーターキャップやホース接続部を備えたり、耐久性の高い材料を採用することが多いです。
ラジエーターコアの交換は自分でできる?│総括
ラジエーターコアの交換は、工具や手順をしっかり把握し、車の構造に慣れていれば自分でチャレンジすることも可能です。
実際、冷却水を抜く作業からホースや電装の取り外し、ラジエーター本体の固定部の外し方まで動画や体験談で詳しく紹介されています。
ただし、作業スペースが狭かったり、エア抜きの工程を丁寧に行わないと冷却効率が落ちる場合があるため、初めての場合や不安がある場合はプロの整備工場に依頼することをおすすめします。