近年、私たちのドライブを脅かす存在となっているのが、予測不能な「ゲリラ豪雨」です。
あまりに激しい雨に見舞われると、どれだけ優れた性能を持つ車であっても、一瞬にして視界を奪われ、まるで大海原を彷徨っているような恐怖を感じることもあるでしょう。そんな雨の日、ドライバーにとって唯一の頼みの綱となるのがワイパーです。
皆さんはその正しい操作法や、ベストなコンディションの保ち方を理解しているでしょうか?「ただ動かせばいい」という油断が、視界不良をもたらします。
本記事では、ゲリラ豪雨からあなたと大切な同乗者を守るために、ワイパーの極意と雨天時のマナーを徹底解説します。
記事のポイント
ゲリラ豪雨では迷わずワイパーを「高速(HI)」に切り替える
オート機能に頼りすぎず、状況に応じて手動操作を優先する
ワイパーの「ビビリ」はゴムの劣化や油膜が原因。早めに交換を
雨の日の夜に見にくい「油膜」は、専用の研磨剤でリセットする
水たまりでの「泥はね」は、運転者の交通違反。徐行が鉄則
目 次
ゲリラ豪雨の日の車のワイパーはどうすればいい?

まず鉄則となるのは「雨量に対して常に払拭速度を維持する」ことです。通常、私たちは「INT(間欠)」や「LO(低速)」で事足りるシーンが多いですが、前方が白く霞むほどの豪雨では、迷わずレバーを「HI(高速)」にしてください。
もし、ワイパーをHIにしても前方の状況が判別できないほど雨が激しい場合は、走行を継続すべきではありません。サービスエリアやパーキングエリア、あるいは安全な路肩を見つけ、一時避難する判断をしてください。
雨の日に車のワイパーはどこで動かす?
多くの国産車において、ワイパーレバーはステアリングコラムの左側に配置されています(輸入車は右側が多いです)。基本操作はレバーを上下に動かす直感的なものですが、ゲリラ豪雨でパニックにならないよう、その操作感を体で覚えておきましょう。
ゲリラ豪雨のような異常事態では、ワイパーを動かすタイミング以上に「どの速度で動かすべきか」の判断が命明暗を分けます。
基本は、フロントガラスに付着する水滴が視界を遮る前に拭き取ること。雨が降り始めた初期段階では「間欠(INT)」や「低速(LO)」で十分ですが、バケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨の際は、迷わず「高速(HI)」を選択してください。
特に注意したいのが、大型トラックやバスとすれ違う際や、追い越される瞬間です。対向車が跳ね上げた大量の水がフロントガラスを覆う「ウォーターハザード」が起きると、数秒間完全に視界がゼロになります。この予兆を感じたら、水が掛かる直前にワイパーを高速モードに切り替え、心の準備をしておくことが重要です。
また、雨天時は視界確保だけでなく「自車の存在を周囲に知らせる」ことも不可欠。ワイパーを動かすのと同時に、昼間であってもヘッドライトを点灯させましょう。オートライトが反応しない程度の薄暗さでも、手動でONにするのが安全の流儀です。
車のワイパー操作方法は?

一般的に、レバーを1段下げると「間欠(INT)」、2段目で「低速(LO)」、3段目で「高速(HI)」となります。メーカーによっては、レバーを奥に回転させる回数で作動するものもあります。
また、レバーを一時的に上に弾くと「ミスト(MIST)」機能が働き、1回だけワイパーが作動します。小雨や霧雨の時に便利です。
さらに、レバーを手前に引くとウォッシャー液が噴射され、同時に数回ワイパーが動きます。レバーの先端のボタンを押すことで、ウォッシャー液が噴射されるタイプのモデルもあります。泥跳ねなどで視界が汚れた際は、迷わずウォッシャー液を使いましょう。乾いた状態でワイパーを動かすと、砂埃などでガラスを傷つける原因になります。
最近の車は多機能化しており、間欠作動の「間隔」を調整するダイヤルがレバーに備わっていることも多いです。豪雨時はこのダイヤル調整では追いつかないため、「LO」や「HI」へ切り替える決断力が求められます。
車の自動ワイパーのやり方は?
最近の車両に多く搭載されている「雨滴感知式オートワイパー」は、フロントガラス上部のセンサーが雨量を検知し、自動で最適な速度に調整してくれる便利な機能です。
操作は簡単で、ワイパーレバーを「AUTO」のポジションに合わせるだけ。一度設定すれば、降り始めから土砂降りまで車が自動で判断してくれます。
しかし、オートは万能ではありません。センサーの検知範囲はガラスのごく一部であるため、局所的な強い雨や、泥水が飛んできた際の反応がワンテンポ遅れることがあります。
また、街灯の光や対向車のライトを誤検知して動きが不安定になるケースも珍しくありません。ゲリラ豪雨のような極端な状況下では、オートの判断を待つよりも、ドライバー自らが「HI」に切り替えたほうが安全です。
さらに、洗車機に入れる際は必ず「AUTO」をオフにするのを忘れずに。センサーがブラシを雨と誤認してワイパーが動き出し、アームが折れるといったトラブルが発生しています。便利な機能だからこそ、その限界を知り、いざという時は手動で介入する姿勢が大切です。
車両後ろのワイパーの動かし方は?

リアワイパーの操作は、フロント用レバーの先端にあるスイッチを回転させるタイプが主流です。リアはフロントほど頻繁に動かす必要はありませんが、後方視界の確保は、特に高速道路での車線変更や後続車の距離を測る上で極めて重要です。
リアワイパーには「ON(連続)」と「INT(間欠)」の2段階設定が多いですが、ゲリラ豪雨時は「ON」にしておくのが正解です。リアガラスは走行風の巻き上げによって、雨水だけでなく路面の泥汚れも付着しやすいため、放置するとすぐに視界が真っ白になります。
また、意外と知られていないのが「リバース連動機能」です。フロントワイパーが作動中にギアをバック(R)に入れると、自動的にリアワイパーが動き出す設定の車が増えています。これは後退時の安全を確保するための親切設計ですが、もしリアワイパーがゴムの劣化で「ビビり」を起こしているなら、この自動作動がかえってストレスになることも。
リアはフロントに比べて交換を忘れがちですが、1年に1回はゴムの状態を確認し、過酷な雨天時に備えておきましょう。
ゲリラ豪雨の日の車のワイパーはどうすればいい?│ワイパービビリや油膜など

「ワイパーのビビリ」や「油膜によるギラつき」は、単なる不快な音や汚れではなく、雨の日の危険性を上げる欠陥だと認識すべきです。もし走行中に油膜による視認性の低下を感じたら、無理に走行を続けず、高機能なウォッシャー液を積極的に活用して一時的にでも油分を浮かせましょう。
しかし、根本的な解決は「油膜取り」と「ワイパーゴムの交換」以外にありません。特にゲリラ豪雨が頻発する夏場や台風シーズン前には、指でゴムを触ってみて硬化していないか、ガラスを濡らしたときに水が弾かれすぎてムラになっていないかを確認してください。
雨の日にワイパーがビビるのはなぜ?
「ガガガッ」という不快な振動と音。これこそが「ビビり」現象です。主な原因は、ワイパーゴムの劣化と、フロントガラスに付着した「汚れのムラ」にあります。ゴムは紫外線や温度変化で硬化し、ガラスに対する接地角度が適切に保てなくなると、滑らかに滑らずに跳ねてしまうのです。
また、撥水剤(ガラコ等)の塗りムラや、古い油膜も大きな原因です。ガラス面に親水部分(水が馴染む)と撥水部分(水を弾く)が混在していると、ゴムが受ける摩擦抵抗が場所によって変化し、振動を引き起こします。
特に、中途半端に撥水加工が落ちてきたガラスは悪いコンディションと言えます。対策としては、まずはガラスを徹底的に洗浄し、油膜を取り除くこと。そして、ゴム自体を「グラファイト加工(摩擦を低減する炭素粒子)」されたものに交換するのが最も効果的です。
もし出先でビビりが発生してしまったら、一時的にウォッシャー液を出すことで摩擦が軽減され、音が収まることがあります。しかし、これはあくまで応急処置。ビビりが発生しているということは「綺麗に拭き取れていない」証拠であり、夜間の雨天時は対向車のライトが乱反射して視界を妨げてしまいます。
油膜が取れているか確認する方法は?
油膜とは、排気ガスに含まれる油分や大気中の汚れが、フロントガラスに焼き付いた膜のことです。これを確認する最も簡単な方法は、「綺麗な濡れ雑巾でガラスを拭いてみる」ことです。
拭いた直後、水がガラス一面に均一な膜となって広がり、ゆっくりと乾いていく状態(親水状態)であれば油膜はありません。逆に、水が弾かれて玉になったり、一部だけ水が乗らなかったり、あるいは「ギラギラとした虹色の模様」が浮き出てきたりする場合は、それが油膜の正体です。
特に雨の日の夜、対向車のライトが当たった時に視界が白くぼやけるようであれば、油膜が蓄積しています。油膜は通常のカーシャンプーではなかなか落ちません。専用の「キイロビン」などの酸化セリウム配合のコンパウンド(研磨剤)を使って、物理的に削り落とす必要があります。
一度リセットして「完全親水」の状態にしてから、改めて信頼性の高い撥水コーティングを施工するのが、クリアな視界を長く保つための王道といえるでしょう。
車が水はねをしたら責任は誰にある?

水はね(泥はね)によって歩行者に迷惑をかけた場合、その責任は「運転者」にあります。これは単なるマナーの問題ではなく、道路交通法第71条第1号に明確に規定されている義務違反です。
「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」
この規定に違反した場合、「泥はね運転」として反則金の対象(普通車で6,000円程度)となります。さらに、もし歩行者の衣服を汚してしまった場合、クリーニング代などの損害賠償を請求される可能性も十分にあります。
ゲリラ豪雨の後はあちこちに深い水たまりができますが、そこを勢いよく通過するのは厳禁です。水はねは想像以上に広範囲に飛び散ります。歩行者がいる場合はもちろん、自転車や他の車両に対しても、速度を十分に落として通過するのがドライバーの責任です。視界が悪いからこそ、自分だけでなく周囲への配慮を忘れない余裕を持ちたいものです。
ゲリラ豪雨の日の車のワイパーはどうすればいい?│総括
雨の日のドライブにおいて、ワイパーは単なる「窓拭き道具」ではなく、安全な進路を見出すための「生命線」です。
ゲリラ豪雨のような極限状態では、車の機能を過信せず、自らの判断で最適な視界を確保して安全を確保しましょう。ビビり音のない滑らかな拭き取り、そして油膜のないクリアなガラス。これらは決して贅沢ではなく、安全運転のための最低条件です。
また、水はねへの配慮といった周囲への思いやりを持つことで、悪天候の中でもスマートで紳士的なドライバーであり続けることができます。
この記事を参考に、今一度愛車のワイパーの状態をチェックし、どんな嵐の日でも自信を持ってステアリングを握れる準備を整えておきましょう。