エンジンの性能維持に欠かせないメンテナンスの一つとして注目されるフラッシング。
しかし、その実施には賛否両論があり、中には「意味ない」と感じる方もいます。では、実際のところエンジンフラッシングはどのような効果があるのでしょうか?
この記事では、その真価を検証し、あなたの車にとって必要かどうかを探ります。
記事のポイント
適切なオイル交換をしていれば、フラッシングは基本的に不要
長期間オイル交換していない車には、フラッシングが有効な場合も
汚れがたまった車にはフラッシングで燃費や加速が改善
過走行車へのフラッシングは、注意が必要
添加剤の使用は、フラッシングに代わる手軽な洗浄方法
目 次
エンジンのフラッシングは意味ないのか?

エンジンフラッシングは、すべての車に必要な万能薬ではありません。
むしろ、安易なフラッシングは重大なエンジントラブルを引き起こしかねません。特に、定期的なオイル交換をきちんとされているお車であれば、基本的にフラッシングは不要です。
フラッシングは必要ですか?
エンジンのフラッシングは、定期的なオイル交換がされておらず、エンジン内部に汚れが溜まっている車に対しては有効で、エンジンの動きをスムーズにし、加速や燃費の向上、アイドリングの安定、さらにはエンジンの長持ちに繋がる効果が期待できます。そのため、汚れが溜まっている場合にはフラッシングは必要な作業です。
しかし、エンジンオイルを適切な周期で交換している場合には、基本的にフラッシングは不要です。なぜなら、エンジンオイル自体が内部の汚れを洗浄する役割を持っているため、定期交換により十分にエンジン内部の清浄が保たれているからです。また、過走行車や長期間オイル交換していない車でのフラッシングは、堆積した汚れが剥がれ落ちた際にオイル通路やフィルターを詰まらせるリスクがあり、故障やオイル漏れを引き起こすこともあります。
したがって、フラッシングの必要性は車の状態やメンテナンス履歴によって異なります。エンジン音が大きくなったり、振動や燃費の悪化、エンジンのかかりが悪くなったりといった症状がある場合に限り、整備士と相談のうえでフラッシングを検討するとよいです。
エンジンフラッシングの効果は?

エンジンフラッシングの効果は主にエンジン内部の汚れを除去し、エンジンの本来の性能を回復させることにあります。具体的には、内部のスラッジやカーボンなどの堆積物を取り除くことで、オイルの循環が良くなり、摩擦抵抗が減少します。その結果、燃費の改善や加速性能の向上、アイドリングの安定化が期待できます。特に、長期間オイル交換を怠っていた車や、走行距離が多い車、短距離走行が多くエンジンの負担が大きい車に効果があります。
また、金属摩耗の低減や油膜切れの防止にもつながり、ピストンリングやカムシャフトの寿命延長、高回転時や夏場の焼き付きリスク軽減など、エンジンの長寿命化にも寄与します。
エンジンフラッシングは何万キロごとに行うべき?

エンジンフラッシングの実施目安は、一般的に 3万~5万キロごとが推奨されています。これはエンジン内部にスラッジやカーボンなどの汚れが徐々に蓄積し始めるタイミングであり、フラッシングを行うことでこれらの汚れを除去し、エンジン性能を維持しやすくなるためです。特にガソリン車のターボ車やディーゼル車は汚れの蓄積が早いため、やや短めの20,000~30,000キロ間隔を目安にする場合もあります。
また、近年普及しているハイブリッド車ではエンジンの稼働時間が短いため、やや長めに40,000~60,000キロごとに行うことが多いです。
ただし、機械式のエンジンフラッシングの場合は、1万キロまたは1年に1回を目安に実施することもありますが、頻繁なフラッシングはエンジンを傷めるリスクがあるため注意が必要です。定期的なオイル交換をきちんと行っている場合は無理にフラッシングを行う必要はなく、エンジンの調子が悪いと感じた時や長期間オイル交換をしていない場合に検討するのが適切です。
エンジンのフラッシングは意味ないのか?│費用、代替手段など

エンジンのフラッシングは、メンテナンスの状況や車の使用環境に応じて、必要性を判断することが重要です。代替手段として、定期的なオイル交換やエンジンクリーナー添加剤の使用、運転スタイルの見直しが有効です。
エンジンフラッシングのデメリットは?
エンジンフラッシングのデメリットにはいくつか注意すべき点があります。まず、古い車や走行距離が長い車では、エンジン内部にこびりついたスラッジや汚れが大量に蓄積していることがあります。フラッシングによりこれらの汚れが一気に剥がれ落ちると、オイルラインやフィルターが詰まるリスクが高まります。その結果、オイルの循環が悪くなり、エンジンの故障や調子の悪化を引き起こすことがあります。
また、長期間オイル交換を怠った車の場合、劣化したパッキンやガスケットの隙間からオイル漏れが発生しやすくなります。これは、フラッシングで汚れが落ちることで隠れていた劣化部分が露出してしまうためです。さらに、フラッシング作業自体に時間と費用がかかることもデメリットの一つです。
最後に、定期的にオイル交換をしている比較的新しい車では、フラッシングの効果をあまり感じられない場合も多く、むやみに実施すると逆にエンジンに負担をかけることもあります。したがって、全ての車に対して一律にフラッシングを行うのではなく、車の状態や整備履歴を考慮し、専門の整備士と相談した上で判断することが重要です。過剰なフラッシングはかえってトラブルの原因となるため注意が必要です。
エンジンフラッシングの費用は?

エンジンフラッシングの費用は、施工方法や依頼先によって異なりますが、一般的な目安は4,000円から10,000円程度です。機械式の高性能フラッシングでは、作業工賃と専用オイル代を合わせて約6,000円〜8,000円が多く、ディーラーでは純正フラッシング剤を使うため5,000円~10,000円とやや高めになることが多いです。カー用品店では比較的安価な2,000円~6,000円くらいのメニューが用意されていることもあります。
また、エンジンオイルやオイルエレメントの交換がセットになる場合が多く、その費用も別途かかります。例えば、オイルエレメント交換が必須となるケースがほとんどで、オイル代やフィルター代をプラスすると総額として1万円前後になることもあります。輸入車やハイブリッド車、特殊な車種は追加費用が発生することもあります。
エンジンオイルフラッシングの代わりは?

エンジンオイルフラッシングの代わりになるものとしては、主にエンジンオイル添加剤とガソリン添加剤が挙げられます。
エンジンオイル添加剤を使う方法
最も手軽な代替手段がエンジンオイル添加剤です。走行しながらゆっくりとエンジンの汚れを落とすため、エンジンへの負担が少ないのが特徴です。費用は添加剤代として約1,000円~3,000円程度で、オイル交換料金とは別途となります。手間も時間もかからず、作業内容はオイル交換とほぼ同じなので、誰でも簡単に行えるメリットがあります。
ガソリン添加剤を使う方法
ガソリン添加剤には、エンジン内部の燃焼室や吸排気バルブ、インジェクターなどに溜まったスラッジを清浄して分解する効果があります。添加剤を加えたガソリンでエンジンを動かせば、スラッジを分解し、燃焼させることが可能です。
遅効性エンジン内部洗浄剤
さらに、エンジンオイルに添加する遅効性エンジン内部洗浄剤もあります。ドライブクリーニング機能により、走行しながら汚れをエンジンオイルに溶かして分散させることで、エンジン内部を綺麗にします。
これらの代替手段は、大掛かりなフラッシング作業を希望しない場合に有効な選択肢となります。
エンジンのフラッシングは意味ないのか?│総括
定期的にエンジンオイルを交換している比較的新しい車や、メンテナンスがしっかりされている車では、フラッシングの効果はあまり感じにくく、むやみに実施する必要はありません。
また、古い車や長期間オイル交換をしていない車では、汚れが一気に剥がれ落ちて油路が詰まったり、劣化したガスケットからオイル漏れが発生するリスクがあえいます。安易にやるのではなく、整備士と相談して判断することが大切です。
エンジンフラッシングは「すべての車に必要」ではなく、「状態に応じて必要な時だけ」行うべき作業です。