エンジンの息継ぎは、加速時や発進時にエンジンの回転が一時的に不安定になる症状です。
その原因の一つにイグニッションコイルの不具合があります。イグニッションコイルはバッテリーの電圧をスパークプラグで点火するための高電圧に変換する重要な部品です。このコイルが劣化や故障すると、火花が弱まりエンジンの燃焼が不完全となり、息継ぎや加速不良を引き起こします。
息継ぎは点火系だけでなく燃料不足やセンサー異常でも起こるため、原因を特定するためには総合的な点検が必要です。
この記事では、イグニッションコイルがエンジンの息継ぎに与える影響や故障の前兆、寿命について詳しく解説します。
記事のポイント
息継ぎの原因はコイルだけでなく、燃料系やセンサーも関係
コイルが故障すると、加速不良やアイドリングが不安定に
雨の日の不調やもたつきは、コイルが壊れる前の前兆サイン
コイル寿命は10万km目安、プラグ交換でコイルの負担を減らせる
コイル交換でも治らない場合があるため、プロの総合診断が重要
目 次
エンジンの息継ぎの原因はイグニッションコイル?

イグニッションコイルはバッテリーの低電圧をスパークプラグに必要な高電圧に変換し、エンジンの点火を助ける重要な部品です。このコイルが劣化すると火花が弱くなり、エンジンの点火が不安定になり息継ぎや振動、加速不良といった症状が現れます。
エンジンの息つきの症状は?

エンジンの息つきとは、アクセルを踏んで加速しようとするときに、エンジンが一瞬力を失ったようにカクンと振動する現象を指します。車体が揺れ動き、スムーズな加速ができなくなるのが特徴です。
具体的には、以下のような症状が現れます。アイドリング時にエンジンの回転数が不安定になり、大きな振動を伴うことがあります。また、アクセルを踏んでも吹け上がらず、スピードが出ない状態になります。さらに進行すると、ゴトゴト音やカタカタ音といった普段聞こえない異音が発生することもあります。
加速時の息つき以外にも、特に低回転域での発進時に顕著に現れることが多いです。一方、高回転やフル加速時に起こる息つきもあり、発生状況によって原因が異なることがあります。
症状が進むと、エンジンがかかりにくくなったり、エンジンが止まりそうになったりするなど症状が出ることもあります。このような息つきの症状が見られた際は、早めに原因を特定し、適切な対処をすることが大切です。
エンジンが息継ぎする原因は?
エンジンが息継ぎする原因は主に点火系と燃料系のトラブルです。点火プラグの劣化により火花が弱くなると、失火が起きてエンジンがスムーズに燃焼しません。イグニッションコイルの不良も火花の強さに影響し、息継ぎの原因になります。
また、燃料ポンプやインジェクターの不具合で燃料供給が不足すると、エンジンが息切れしたような症状が現れます。さらに、エアクリーナーの目詰まりで空気の流れが悪くなると、燃焼効率が下がり息継ぎが起こることもあります。
これらの問題が重なると、アクセルを踏んでも加速が鈍く、エンジンの調子が悪く感じられます。
イグニッションコイルが悪い時の症状は?

イグニッションコイルの不調で起きる特有の症状は、エンジンの息継ぎの症状と、ほぼ同じものになります。
発進や加速の際、エンジン回転が上がらず力がうまく伝わらない感覚があり、まるで数気筒あるうちの一つが仕事をしていないような、そんな力不足を感じます。
信号待ちなどの停車中に、不規則な振動がハンドルや車全体に伝わってくるなどエンジンの回転が安定しないため、ブルブルと不快な揺れとして体感できます。
多くの場合、コンピューターが点火系の失火を検知し、メーター内のエンジン警告灯が点灯し、車の異常を運転者に知らせます。
正常な燃焼ができなくなり、以前より燃費がかなり悪くなったと感じるはずです。
最近の車は各気筒にコイルがあり、一本の故障でも不調ははっきりと分かります。
イグニッションコイルの故障の前兆は?

イグニッションコイルの故障は、ある日突然起きると思われがちです。しかし実は、完全に壊れる前に、愛車が小さなサインを出していることがよくあります。
「気のせいかな?」と感じるような、ほんのささいな変化がその前兆かもしれません。
例えば、いつもは調子がいいのに、ごくまれに加速が一瞬だけにぶることがある。こんな経験はありませんか。はっきりとした息継ぎではない、ほんのわずかなもたつきです。
また、雨の日や湿気の多い日にかぎって、なぜかエンジンの調子がわるいと感じることも前兆の一つです。これはコイルの樹脂部分にできた目に見えないほどの小さなひびが原因でおこります。
その小さなひびから湿気がはいりこみ、電気が少しだけ外へもれてしまうのです。
エンジンをかけた直後だけ、アイドリングがわずかにばらつくといった症状も要注意です。エンジンがあたたまると症状がなおるため、多くのかたが見過ごしてしまいがちになります。
こうした「いつもと少しだけちがう」という感覚は、コイルが私たちに教えてくれる大事な合図なのです。
エンジンの息継ぎの原因はイグニッションコイル?│寿命や他の原因など

イグニッションコイルだけでなくスパークプラグや燃料系統の不具合も息継ぎの原因となるため、総合的な点検が必要です。コイルの寿命は走行距離10万km前後や10年以上が目安で、高温や振動、電圧の不安定などによって寿命が短くなることもあります。
イグニッションコイルが壊れる理由は?
精密な電気部品であるイグニッションコイルは、実は消耗品の一つです。故障にはいくつかの代表的な理由があります。
1. 経年劣化による内部の損傷
最も多い原因は、やはり経年劣化です。イグニッションコイルは、エンジンの上で常に高温と振動にさらされるという、非常に過酷な環境で作動しています。
内部には電気を増幅させるためのコイルが何重にも巻かれていますが、長年の熱や振動でこのコイルの絶縁被膜が劣化します。すると、内部でショート(短絡)を起こしてしまい、正常に電気を増幅できなくなってしまうのです。
また、外側の樹脂ケースに目に見えないほどの小さなひび割れ(クラック)が入り、そこから湿気が侵入して漏電(リーク)を起こすことも、故障の典型的なパターンです。
2. スパークプラグの消耗による負担増
スパークプラグの劣化もイグニッションコイルの故障を誘発する大きな原因です。
スパークプラグが消耗して電極が摩耗すると、火花を飛ばすために、より高い電圧が必要になります。その「もっと電気をくれ!」という要求に応えようと、イグニッションコイルは常に全力で働き続けることになります。この過大な負担がコイルの寿命を著しく縮めてしまうのです。スパークプラグを適切な時期に交換することは、イグニッションコイルを長持ちさせるための重要なメンテナンスと言えます。
3. エンジンの熱によるダメージ
エンジン本体から発生する高い熱も、コイルにとっては大敵です。特に近年の車は、エンジンの静粛性や見た目のために、エンジン全体がカバーで覆われていることが多いです。これにより熱がこもりやすくなり、コイル内部の電子部品や樹脂部分の劣化を早めてしまいます。
長時間のアイドリングや、夏場の渋滞路を走行する機会が多い車は、特に熱によるダメージを受けやすい傾向にあります。
これらの原因は、一つだけではなく、複合的に絡み合って故障につながることがほとんどです。
イグニッションコイル交換しても治らない

イグニッションコイルを交換してもエンジンの息継ぎが治らない原因は、イグニッションコイル以外の部分に問題があります。
たとえば、スパークプラグの劣化や配線の接触不良、ECU(エンジンコンピューター)の異常などが考えられます。また、燃料ポンプやインジェクター、エアクリーナーの不具合も、点火系以外でエンジン不調を引き起こします。交換後に症状が続くときは、他の部品やシステムにも目を向ける必要があります。
さらに、取り付け不良やコネクターの接続ミス、交換したコイル自体が不良品だった可能性もあります。症状が改善しない場合は、専門の整備工場で総合的な診断を受けることが大切です。
イグニッションコイルの寿命は?
一般的に、イグニッションコイルの寿命の目安は「走行距離10万km」と言われています。多くのお車にとって、一つの大きな節目となる距離です。
ただし、これはあくまで目安です。最近の車の部品は非常に高性能になっており、15万km、20万kmと全く問題なく走り続けるケースも珍しくありません。その一方で、乗り方やメンテナンス状況によっては、5〜6万kmで不調のサインが出てしまうこともあります。
つまり、イグニッションコイルの寿命は、お車の使われ方によって大きく変動するのです。
特に、以下のような要因が寿命に影響を与えます。
- 運転環境と乗り方
軽自動車のようにエンジンを高回転で使う機会が多い車や、街中での「ストップ&ゴー」を繰り返すことが多いお車は、コイルへの負担が大きくなる傾向があります。 - メンテナンス状況
最も寿命に影響するのが、スパークプラグの状態です。消耗したプラグは、火花を飛ばすためにより大きなエネルギーを必要とします。その分、コイルが無理をして働くことになるため、結果として寿命を著しく早めてしまうのです。定期的にプラグを交換することが、コイルを長持ちさせる一番の秘訣です。
このように、イグニッションコイルには「〇年経ったら交換」というような明確な交換時期が定められていません。だからこそ、定期的な点検が重要になります。
「最近、加速が鈍くなった気がする」「アイドリングの振動が少し大きくなったかも」といった愛車の小さな変化を感じたら、それが点検のサインです。
エンジンの息継ぎの原因はイグニッションコイル?│総括
エンジンの息継ぎが発生する原因の一つとして、イグニッションコイルの不具合が考えられます。コイルの劣化や故障は、エンジンの始動困難や加速不良の原因となることがあります。
また、他にもスパークプラグの摩耗や燃料フィルターの詰まり、各種センサーの不具合なども息継ぎを引き起こす要因です。
イグニッションコイルの寿命は通常10万キロ程度ですが、定期的な点検とメンテナンスによってその寿命を延ばすことができます。
異常を感じた場合は、早期に専門家に相談して適切な診断と修理を行うことが重要です。