燃費性能の良さから、0w-20といった低粘度オイルを指定する車が増えてきました。
一方で、「0w-20を入れるとエンジンが壊れるって聞いたけど本当?」「自分の車にも使って大丈夫なの?」と不安に感じる声も耳にします。
本当に0w-20オイルはエンジンに悪影響があるのでしょうか?
この記事では、0w-20オイルについて、さまざまな角度から、分かりやすく解説していきます。
記事のポイント
0w-20はサラサラとした低粘度オイルのため、燃費向上に使用され、価格が高い傾向
0w-20には、油膜を維持できるような高性能なベースオイルと添加剤が配合されている
古い車や過酷な環境での使用時には、5W-30などの粘度のオイルを検討
車両の取扱説明書やメーカーの推奨を確認してから使用を
目 次
0w-20オイルを入れると壊れる?

最近、省燃費性能の高さから、0w-20といった低粘度オイルが注目されています。しかし、中には「自分の車に0w-20を入れても大丈夫なのか?」「エンジンを壊さないか心配だ」という声も耳にします。
0w-20のデメリットは?
0w-20は優れた省燃費性能を持つ反面、以下のような点が気になる方もいるかもしれません。
- 高温時の保護性能の低下
0w-20はサラサラとした低粘度オイルのため、高温になる状況下では油膜が切れやすくなる可能性があります。
特に、スポーツ走行など、エンジンに高負荷がかかる運転を頻繁に行う場合は注意が必要です。
油膜切れを起こすと、エンジン部品の摩耗を早め、最悪の場合、エンジントラブルに繋がる可能性もあります。 - 古い車や特定のエンジンと相性が悪い
元々5w-30や10w-30といった高粘度オイルを使用することを前提に設計された古い車両や特定のエンジンは、0w-20オイルと相性が悪い場合があります。
これらのエンジンに0w-20を使用すると、油膜が薄くなり、オイル漏れやオイル消費の増加を引き起こす可能性があります。 - 高速走行や重負荷時での適用不可
0w-20オイルは一般的に耐熱性が低いとされているため、高速走行や山道での走行、さらには重負荷がかかるトレーラーの牽引など、エンジンに大きな負荷がかかる状況には適さない場合があります。
これらの状況では、より粘度の高いオイルを使用する方がエンジンの長寿命化に寄与します。 - 適合性の確認が必要
全てのエンジンに0w-20オイルが適しているわけではありません。
車両の取扱説明書やメーカーの推奨を確認せずに使用すると、保証が無効になる場合もあります。
したがって、0w-20オイルを使用する前には必ず適合性の確認を行い、適切な粘度のオイルを選択することが重要です。 - 燃費向上に対する代償
0w-20オイルは燃費向上のために使用されますが、エンジン摺動部の磨耗やエンジンマウントの経年変化により、騒音レベルが高くなる場合があります。 - 価格が高い傾向
0w-20は、高性能なベースオイルと添加剤を使用しているため、従来のオイルに比べて価格が高い傾向があります。
0w-20の油膜切れについて
0w-20オイルに関してよく耳にする懸念のひとつが「油膜切れ」です。
特に低粘度オイルである0w-20を使用したときに、本当にエンジンの保護が十分に行われるのか心配される方も多いかと思います。
ここでは、油膜切れのメカニズムや、0w-20オイルの使用におけるポイントについて詳しく説明します。
- 0w-20の特性と油膜形成
0w-20オイルは低粘度設計のため、流動性が高く低温時でも速やかに循環し、エンジン全体に潤滑効果をもたらします。
その一方で、その低粘度ゆえに高温・高負荷時には十分な油膜を形成しにくくなることがあります。
特に、ターボチャージャー付きエンジンや性能を追求したエンジンは、油膜切れのリスクが増すことがあります。 - 高温・高負荷時のリスク
0w-20オイルの油膜切れは、特に高温時やエンジンに高い負荷がかかったときに発生しやすくなります。
たとえば、高速道路での長時間の走行や山道での急勾配を登る際など、エンジンが通常よりも熱くなる状況では、オイルの粘度が低いため、油膜が薄くなる危険性があります。 - 予防策と選択肢
油膜切れを防ぐためには、車両メーカーのオイル推奨事項に従うことが基本です。
また、使用環境を考慮し、必要に応じて粘度の高いオイルに変更することも検討してください。
特に過酷な条件下での運転が多い場合、5w-30や10w-30などのオイルを選ぶことが適切かもしれません。 - 定期的なオイル交換の重要性
油膜切れのリスクを低減するためには、定期的なオイル交換も重要です。
オイルは使用されるにつれ劣化し、粘度が変化することがあります。
一定のサイクルでオイルを交換することで、エンジン内部の潤滑性能を維持し、油膜切れを防ぐことができます。
0w-20は焼き付きやすい?
0w-20オイルだからといって、エンジンが焼き付きやすくなるわけではありません。
適切なオイル管理と車両メンテナンスを行うことで、安心して使用できます。
0w-20オイルを使用する際に限らず、エンジンの焼き付きを防ぐためには以下の点に注意することが大切です。
【エンジンの焼き付きを防ぐために】
・定期的なオイル交換
エンジンオイルは、使用していくうちに劣化し、潤滑性能が低下していきます。
定期的なオイル交換を行い、常に新鮮な状態を保ちましょう。
・オイル量の確認
オイル量が不足すると、潤滑不良を起こしやすくなります。
定期的にオイル量をチェックし、不足している場合は補充しましょう。
・冷却系統の点検
冷却系統の故障は、エンジンのオーバーヒートを引き起こし、焼き付きの原因となります。
定期的な点検を行いましょう。
・無理な運転を避ける
急発進、急加速、長時間のアイドリングなど、エンジンに過度な負荷をかける運転は控えましょう。
0W-20 何度まで耐えられる?
エンジンオイルの耐熱温度は、ベースオイルの種類や添加剤の配合によって異なり、単純に粘度だけで判断することはできません。
0w-20オイルは、低粘度でありながら、高温下でも油膜を維持できるような高性能なベースオイルと添加剤が使用されています。
- 0W-20の設計目的
0W-20オイルは低温時の流動性が非常に高いため、特に寒冷地での使用や、エンジン始動直後の潤滑性の向上を目的に設計されています。
このオイルの「0W」という部分は、低温での流動性を示し、「20」は高温での粘度を示しています。 - 高温抵抗力
0W-20オイルは、市販のオイルとしては特殊な添加剤によって高温でも性能をある程度維持するように作られています。
具体的には、エンジン内の温度が100°Cを超えるような高温環境でも、エンジンオイルとしての基本機能を維持するように設計されていますが、その限界は車両の設計や走行条件によって異なります。 - 適正温度範囲
一般的に0W-20オイルは、エンジン運転中の通常条件下(約100°Cを超えるエンジン温度)での使用が想定されていますが、特に高負荷の状況では、油温が130°C程度に達することがあります。
こうした状況になると、オイルの粘度が低下し始め、潤滑性能が劣化する可能性があります。 - 高温時の注意点
高負荷や高温環境で運転する場合は、次の点に注意してください
- エンジン負荷を意識する
長時間の高速走行や登坂走行など、エンジンに高負荷がかかる運転を頻繁に行う場合は、より高粘度のオイルを検討するのも一つの手です。 - オイルの劣化を監視
高温下で長期間使用するとオイルの劣化が進行します。
定期的なオイル交換が重要です。
0w-20オイルを入れると壊れるか?│オイルの選択

0w-20オイルの利点と欠点を探り、エンジンの信頼性を損なうことなく活用するためのポイントを解説します。
一般的なオイル5w-30の特性とも比較します。
0w-20のエンジンオイルは夏でも使えますか?
0w-20オイルは、低粘度ではありますが、高温下でも油膜を維持できるよう、高性能なベースオイルと添加剤が配合されています。
そのため、メーカーが0w-20の使用を推奨しているのであれば、夏場でも安心して使用できます。
- 0W-20の特性
0W-20オイルは、低温での流動性が優れているため、寒冷地での使用に非常に適しています。
しかし、それだけではなく、高温条件でも一定の性能を発揮できるように設計されています。
特に現代の多くの車両では、このオイルが標準指定されていることも多いです。 - 高温でも使用可能な理由
0W-20は、適切な添加剤によって高温条件でも効果的な潤滑性能を維持します。
このため、エンジンの設計によっては、真夏の高温下でも問題なく使用することができるようになっています。
実際に、日本のような四季のある気候下でも通年で使用されているケースが多々あります。 - 使用推奨の確認
最も重要なのは、車両の取扱説明書やメーカーの推奨事項を確認することです。
メーカーによっては、夏の高温条件下で推奨されるオイル粘度について特定の指示を出している場合があります。
特に新しい車両の場合、このガイドラインに従うことが安心につながります。 - 代替オイルの検討
特定の状況や気候条件によっては、メーカーが5W-30や10W-30といったより高粘度のオイルを提案することもあります。
これらのオイルは、高温での安定性がさらに向上しているため、過酷な条件での使用時にはひとつの選択肢となるでしょう。
0w-20指定車に5w-30入れてもいい?
車のエンジンは、使用するオイルの粘度を考慮して設計されています。
0w-20指定車に、粘度の高い5w-30を入れてしまうと、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 燃費が悪化する
エンジンオイルの粘度が高いほど、抵抗が大きくなり、燃費が悪化する原因となります。
0w-20指定車に5w-30を入れると、本来の燃費性能を発揮できなくなる可能性があります。 - エンジン出力の低下
エンジンオイルの抵抗が大きくなることで、エンジンの回転が重くなり、出力低下に繋がる可能性があります。 - エンジンオイルの循環不良
0w-20指定車のエンジンは、低粘度のオイルが循環しやすいよう設計されています。5w-30のような高粘度オイルを入れると、オイルの循環が悪くなり、エンジン内部の各部にオイルが行き渡らなくなる可能性があります。 - 最悪の場合、エンジン故障の原因に
オイルの循環不良などにより、エンジン内部にダメージが蓄積し、故障に繋がる可能性も否定できません。
では、どんな時にオイル粘度を変えてもいいのか?
基本的には、取扱説明書に記載されている推奨オイル粘度を守るのが鉄則ですが、以下のような場合には、オイル粘度を変更するケースもあります。
▶ 経年劣化によるオイル消費量の増加
▶ 極端に気温が低い地域での使用
▶ サーキット走行など、エンジンに高負荷をかける場合
オイル粘度の変更は、専門家の意見を仰ぎ、車両の運転条件や使用環境に基づいて行いましょう。
0W-20と5W-30は、どっちが良い?

0W-20と5W-30はどちらも一般的に使用されるエンジンオイルであり、それぞれ特有の特性や利点を持っています。
【0w-20の特徴】
■メリット
・燃費が良い - 抵抗が少ないため、燃費向上効果が期待できます。
・エンジン始動がスムーズ - 低温時の流動性が高いため、寒い時期でもエンジンがスムーズに始動します。
■デメリット
・高温・高負荷時の油膜保持能力がやや低い - 高温時の油膜が薄くなりやすく、スポーツ走行などには不向きな場合があります。
【5w-30の特徴】
■メリット
・高温・高負荷時でも油膜を保持しやすい - 高温時でも油膜が切れにくいため、スポーツ走行など、エンジンに高負荷がかかる状況に適しています。
・エンジン保護性能が高い - 油膜が厚いため、エンジン部品の摩耗を抑制し、エンジンを保護する効果が高いです。
■デメリット
・燃費がやや劣る - 抵抗が大きいため、0w-20に比べて燃費性能は劣ります。
・エンジン始動性がやや低い - 低温時の粘度が高いため、0w-20に比べてエンジン始動性は劣ります。
総括│0w-20オイルを入れると壊れるか?
0W-20オイルを使用することは、特に車両メーカーが指定している場合、通常はエンジンを損傷することなく、多くの利点をもたらす選択です。
この低粘度オイルは、燃費を向上させ、低温でのエンジン始動をスムーズにする特性があり、現代の省燃費車やハイブリッド車に特に適しています。
しかし、使用環境や運転スタイルにおいて、高温時や高負荷時のエンジン保護性能については注意が必要です。
高温環境や長時間の高速走行、重負荷がかかる運転が多い場合は、エンジン部品の保護を強化するために5W-30などの異なる粘度のオイルを検討することも一つの方法です。
しかし、これを行う前に、必ず車両の取扱説明書やメーカーの推奨事項を確認し、保証条件に反しないようにすることが重要です。
正しいオイル選択と定期的なメンテナンスが、エンジンの長寿命化と最適なパフォーマンスを保証する鍵となります。