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冷却水がマックスより上になってませんか?オーバーヒートリスクと対処法

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冷却水のリザーバータンク

今回は、DIYで点検や補充をしているとついやってしまいがちな失敗について解説します。

それは、冷却水をリザーバータンクのマックスラインより上に入れすぎてしまうことです。満タンにしたくなる気持ちはわかりますが、実はこれ、車の健康にとっては決してプラスではありません。

この記事では、冷却水を入れすぎた際に起こるエンジンルーム内への液もれや周辺部品へのダメージといったリスクを解説します。

また、熱膨張によって液量や温度がどう変化するのかというしくみ、そして万が一入れすぎた際のぬきとり方や日常点検で見るべき色の変化なども解説します。

記事のポイント

冷却水をマックスより上に入れると、液漏れや故障の原因に
冷却水の体積膨張を考慮し、マックスより上の空間は空ける
マックスより上に入れすぎたら、スポイト等で抜き取り調整
冷却水の濃度は30〜50%が最適。濃すぎると冷却効率が低下
水温計が100度を超え続けるばあいは、即点検で重症化を防ぐ

冷却水がマックスより上だと故障する?

ボンネットを開けて冷却水を確認する

マックス(MAX)の線を超えたから、ただちにエンジンが焼きつくような故障が起きるわけではありませんが、放置すると二次的なトラブルをまねくリスクがたかくなります。

冷却システムは、熱による液体の膨張を計算にいれて設計されています。リザーバータンクのMAXから上、つまりタンクの空きスペースは、熱くなって体積が増えた冷却水が逃げ込むための予備の空間です。ここを埋めてしまうと、増えた分の液体が圧力に押されてキャップからあふれだします。

あふれた冷却水がエンジンルーム内のベルト類にかかればスリップや断裂の原因になり、コネクタなどの電装品にかかればショートをひきおこします。

もし大幅に入れすぎてしまったばあいは、面倒でもスポイトなどで適正量まで抜くことが、結果として愛車を守ることになります。

冷却水の正しい適正量と確認方法
クーラント液を入れすぎたらどうなる?
冷却水をマックスより上に入れすぎた時の対処法
クーラントの濃度が濃いとどうなりますか?

冷却水の正しい適正量と確認方法

冷却水を補充する整備士

「冷却水なんて、入っていればいいんでしょ?」と思われがちですが、実はその量と測り方には、エンジンの寿命を左右するほど重要なルールがあります。

まず基本中の基本として、冷却水の量を確認するのはラジエーター本体ではなく、横に設置されている半透明のプラスチック容器リザーバータンクでおこないます。このタンクの側面には、「MAX(またはFULL)」と「MIN(またはLOW)」という2本の目印がきざまれています。液面がこの2本の線のちょうど中間にあれば、それがその車にとってもっともパフォーマンスを発揮できる適正量といえます。

ここでまちがえてはいけないのが、確認するタイミングです。車を走らせた直後、つまりエンジンがアツアツの状態では、冷却水も熱で膨張して体積が増えています。この状態で量を確認しても、正確なデータは得られません。

正しい確認方法は、エンジンが完全に冷えきった状態、かつ車が傾いていない平坦な場所でチェックすることです。朝一番、エンジンをかける前などがベストタイミングですね。

もし熱いときにMAXギリギリだったとしても、冷えるとMIN近くまで下がることもありますし、逆に冷間でMAXを超えていると、走行中に熱膨張した行き場のない冷却水がふきだしてしまうリスクがあります。

また、リザーバータンクはたんなる予備の容器ではありません。エンジン内の温度変化にともなう冷却水の体積膨張を吸収し、システム内の圧力を一定にたもつための呼吸器のような役割をになっています。

もし、冷間時にMINラインを下まわっているようなら、どこかで漏れが発生しているか、あるいはエンジン内部で異常な消費が起きているサインかもしれません。ただ足すだけでなく、「なぜ減ったのか?」を疑うクセをつけるのが、愛車を長持ちさせる秘訣です。

クーラント液を入れすぎたらどうなる?

ラジエターキャップとラジエター

「MAXの線よりおおめに入れておけば、しばらく補充しなくてすむし安心だろう」という思いつきは、愛車にダメージをあたえる原因になってしまいます。その理由は、エンジンの冷却システムは、密閉された回路の中で液体が循環し、温度変化によって体積がおおきく増減することを前提に設計されているからです。

冷却水はエンジンが始動して温まると、熱膨張によって体積が増えます。リザーバータンクは、その膨張した分の液体を一時的に逃がし、システム全体の圧力を調整するためのバッファ(ゆとり)として機能しています。

もし、このタンクのMAX線を無視して、口元までパンパンにクーラントを注ぎこんでしまったらどうなるでしょうか。エンジンが温まり、熱膨張した冷却水は行き場をうしないます。その結果、たかまった圧力に耐えきれなくなった冷却水は、リザーバータンクのキャップにあるプレッシャーバルブや、オーバーフロー用のホースから外部へと噴きだして(オーバーフローして)しまいます。

「ただ外に漏れるだけなら、後でふけばいい」とかるく考えるのは禁物です。クーラントの主成分であるエチレングリコールは、金属にたいしては防錆効果を発揮しますが、一度エンジンルーム内のほかの部品に付着すると厄介な存在にかわります。

とくにオルタネーター(発電機)などの電装品にかかればショートや故障の原因になりますし、ゴム製のベルトやホース類に付着したままにすると、ゴムをふやかして劣化をはやめることになります。

また、クーラント特有の甘いにおいは、犬や猫などの野生動物をひきつけますが、成分には毒性があるため、地面にたれながすことは環境汚染や動物の誤飲事故にもつながるマナー違反となります。

冷却水をマックスより上に入れすぎた時の対処法

もし自分で補充をしていて、ついつい勢い余ってリザーバータンクのMAXラインを超えてしまったばあい、どうすればいいのか。

数ミリていどのオーバーなら走行中に自然に調整されることもありますが、タンクの口元まで並々と注いでしまったばあいは、物理的に抜きとるのがもっとも確実で安全な対処法です。
「走っていればそのうち減るだろう」と放置するのは、エンジンルームを汚したり、部品を傷めたりする原因になるのでおすすめしません。

もっとも手軽で失敗がない方法は、ホームセンターや100円ショップで手にはいる身近な道具を活用することです。一番のおすすめは灯油ポンプ(通称:シュスポンプ)ですね。新品のポンプをリザーバータンクの口からさしこみ、シュシュっと数回うごかすだけで、簡単に余分な冷却水をすいだすことができます。もしくは、おおきなスポイトや、新品のオイル注入器を代用するのも方法です。

ただし、作業にあたって守ってほしい鉄則が2つあります。1つは、エンジンが完全に冷えきった状態でおこなうこと。エンジン停止直後は冷却システム内に高い圧力がかかっており、リザーバータンクのキャップを開けた瞬間に熱湯がふきだしてやけどを負う危険があります。素手でさわれるくらいまで冷めてから作業してください。

2つ目は、抜きとった液の廃棄方法です。クーラントには有害なエチレングリコールがふくまれているため、下水道や地面にそのまま流すのは法律(廃棄物処理法)で禁止されています。古布や新聞紙に吸わせて燃えるゴミとしてだすか、あるいは整備工場やガソリンスタンドに相談して引きとってもらってください。

クーラントの濃度が濃いとどうなりますか?

「クーラントの濃度が濃いほど、冬の凍結につよいし、防錆効果もたかまってエンジンによいはずだ」と思いこんで、原液をそのままドバドバ入れてしまう。これは、おおきなまちがいです。

クーラントは、濃すぎても薄すぎてもダメ。一般的な乗用車において、もっとも効率がよいとされる適正濃度は、およそ30%から50%の間に設定されています。これを超えて濃度があがりすぎると、逆にエンジンに悪影響をあたえかねません。

最大のリスクは、液体の粘り気(粘性)が増してしまうことです。クーラントの主成分であるエチレングリコールは、水にくらべて粘度がたかい物質です。濃度が60%や70%を超えてくると、冷却水はサラサラした液体から、まるでシロップのようなトロッとした状態にちかづきます。そうなると、冷却水を循環させているウォーターポンプに過大な負荷がかかり、ポンプのシールが痛んだり、ポンプ自体が故障してオーバーヒートをまねくことになります。

また、濃度が濃すぎると、逆にエンジンが冷えにくくなるというジレンマもあります。実は、熱を運ぶ能力(比熱)がもっとも高いのは水です。エチレングリコールは凍結をふせぐためには不可欠ですが、熱を吸収して放出する効率そのものは水よりも劣ります。

つまり、濃度を上げすぎるということは、熱を運ぶ主役である水の割合を減らしてしまうことになり、夏場の渋滞や高速走行時にエンジンの熱を逃がしきれなくなるリスクを高めてしまうのです。

日本の多くの地域では、マイナス15℃からマイナス35℃ていどまで対応できる30%〜50%の濃度が最適解です。寒冷地仕様であっても、60%を超える設定にすることはまずありません。
もし自分で希釈して補充するばあいは、必ず水道水(あるいは精製水)との比率を計算して、メーカー推奨の数値をまもってください。

冷却水がマックスより上だと故障する?│冷却水の限界、日常点検など

ラジエターキャップ

冷却水(クーラント)はエンジンの熱を管理する命綱です。しかし、その管理は「多ければ良い」「濃ければ良い」という単純なものではありません。

冷却水には、その車ごとに決められた適正量(MAXとMINの間)、適正濃度(30~50%)、そして適正温度(80~100度)という3つの限界値が存在します。

日常点検において大切なことは、「変化に気付くこと」です。

  • 前より明らかに液面が下がっていないか(漏れの兆候)
  • 色が濁っていないか(サビや劣化の兆候)
  • 甘いにおいや地面のシミはないか(外部漏れの兆候)

適切な冷却水管理は、愛車と10年、20年と長くつきあっていくための、もっとも安価で効果的な投資なのです。

冷却水は何度まで上がる?
車の水温が100度を超えるとどうなる?
冷却水が少ないとどうなる?
冷却水量の管理と日常点検のポイント
冷却水がマックスより上だと故障する?総括

冷却水は何度まで上がる?

ラジエターキャップを取り外したところ

「水は100℃で沸騰する」というのは常識ですが、実は車のエンジンルームの中では、その常識を超えた世界が広がっています。一般的に、正常な状態で走行している車の冷却水(水温)は、およそ80℃から100℃の間で安定するようにコントロールされています。現代のエンジンはこのくらいの温度域でもっとも効率よく燃料を燃やし、スムーズにうごくように設計されています。

ここで不思議に思うのが、「100℃近いのに、なぜ冷却水はボコボコと沸騰してしまわないのか?」という点です。その答えは、ラジエーターキャップがになっている加圧という仕事にあります。

ラジエーターの中は、キャップにある強力なスプリングによって高い圧力がかけられています。「圧力が高くなると水の沸点が上がる」という原理を利用しているのです。圧力鍋と同じ仕くみで、システム内の圧力を高めることで、冷却水の沸点を本来の100℃から、だいたい120℃前後まで引きあげている。だからこそ、100℃になっても沸騰せず、液体としての性能を維持したまま、エンジンの熱を効率よく奪いとってラジエーターまで運ぶことができるのです。

ただし、水温は常に一定ではありません。走行状況によって細かく上下しています。たとえば、冬場の高速道路をスイスイ走っているときは、走行風がガンガン当たるから80℃台まで下がることも。逆に、夏場の渋滞で止まっているときは、走行風が当たらないからどんどん温度が上がり、95℃〜100℃くらいまで到達することになります。そうなると、今度は電動ファンが回りだして、強制的に風を送って温度を下げる仕組みになっています。

最近の車は、ダッシュボードに水温計がないタイプが増えていますが、その代わりに水温警告灯がしっかり見はっています。冷えているときは青いランプ、そして限界を超えそうになると赤いランプが点灯します。この赤いランプが点く温度は、メーカーによって多少違いますが、だいたい115℃〜120℃付近に設定されていることがおおく、このラインを超えてしまうと、オーバーヒートという、エンジンにとっての緊急事態に突入してしまいます。

車の水温が100度を超えるとどうなる?

オーバーヒートして煙を出して停車する車

「水温計の針がまん中より少しあがってきたな」とか「最近、電動ファンが回りっぱなしだな」と感じるとき、エンジン内部では目に見えない格闘がはじまっています。

車の冷却システムは加圧されているため、100度になった瞬間に沸騰することはありません。しかし、水温が100度を安定して超え、110度、115度と上昇しつづける状況は、エンジンにとって綱わたりをしているのとおなじ状態なのです。

まず、水温が100度をおおきく上まわると、エンジン内部を潤滑しているエンジンオイルに悪影響が出はじめます。オイルには適正な作動温度がありますが、極端な高温にさらされると、オイルの粘度がシャバシャバに低下してしまいます。すると、金属同士がすれあう部分の膜(油膜)が切れてしまい、ピストンやシリンダーといった重要なパーツが直接こすれあい、異常な摩耗や発熱を引きおこすのです。これが焼きつきの第一歩となります。

さらに、エンジンを構成している金属部品が熱膨張します。エンジンはアルミや鋳鉄など異なる金属がくみあわさっていますが、110度を超えて加熱されると、それぞれの金属が設計以上の速さで膨張し、ゆがみが生じます。

とくにシリンダーヘッドガスケットと呼ばれる、エンジンの燃焼室と水路をしきっている精密なパッキンが、熱によるゆがみに耐えきれず破損してしまうことがあります。これを「ガスケット抜け」と呼びますが、こうなると冷却水の中に燃焼ガスが混入したり、逆に燃焼室の中に冷却水がもれだしたりして、エンジンはパワーを失い、白い煙をはいて止まってしまいます。

もし走行中に、メーターパネルの赤い水温警告灯が点灯したり、水温計の針がレッドゾーンに足をふみいれたりしたら、それは車が「もう限界です、助けてください!」と悲鳴をあげているあいずです。

異常を感じたら、直ちに安全な場所に車をとめ、ボンネットから蒸気がでていないか確認しつつ、速やかにロードサービスの手配をおこなってください。

冷却水が少ないとどうなる?

メーター内の水温計が高温を警告している

冷却水が規定量より少なくなると、エンジンを冷やすための循環サイクルそのものが崩壊しはじめます。

本来、エンジンの内部はすみずみまで冷却水で満たされている必要がありますが、液量が減るとそこに空気の塊(エア噛み)が発生します。空気は液体に比べて熱をつたえる効率が圧倒的に低いため、その部分だけが異常な高温になり、オーバーヒートへと突きすすんでしまいます。

さらに、冷却水の量が減ることで、残された少ない液体にすべての熱負荷が集中します。本来なら5リットルの液体で分散してうけとめるべき熱を、たとえば3リットルでうけとめなければならなくなれば、当然その液体の温度上昇スピードは急激に早まります。

水温計の針が一度上がりはじめると、あっという間にレッドゾーンに到達してしまうのはこのためです。また、冷却水が不足するとヒーターにも影響がでます。冬場に「暖房をつけているのに温かい風がでてこない」という症状がでたときは、ヒーターコアまで冷却水がまわっていない、つまり液不足におちいっているサインかもしれません。

もしリザーバータンクが空っぽだったり、地面に液体がもれた跡があったりするばあいは、そのまま走行してはいけません。もれている箇所から空気を吸いこみ、走行中に突然エンジンが停止するばあいがあるからです。

冷却水が少ないということは、人間でいえば脱水症状のままマラソンを走らされているようなものです。愛車をそんな目にあわせないよう、つねに適切な量が保たれているか、目をくばってあげることが大切です。

冷却水量の管理と日常点検のポイント

地面にラジエター液が漏れて広がっている

愛車の健康を守るために大切なのは、月に一度、ボンネットを開けてリザーバータンクをのぞきこむ習慣をつけましょう。

チェックすべきポイントは、たんに、液がMAXとMINの間にあるかだけではありません。タンクの外側から透けて見える液の色にも注目しましょう。新品の冷却水は、透きとおった赤や緑、あるいは鮮やかな青やピンクをしていますが、これが茶色くにごっていたり、サビのような粉がまじっていたりするばあいは、内部の腐食が進んでいるサインです。また、表面に油のような膜が浮いているばあいは、エンジンオイルが混入している可能性があり、一刻も早い点検が必要になります。

次に、車を停めている地面のようすを観察するクセをつけましょう。駐車場をでる際に、自分の車が停まっていた場所に、不自然な水たまりや、乾きにくい色のついたシミが残っていませんか?

冷却水には独特の甘いにおいがあるため、メープルシロップのような甘ったるいにおがしたら、それはどこかで冷却水がもれだしている証拠です。ラジエーター本体だけでなく、ゴムホースのつなぎめやウォーターポンプなど、経年劣化でじわじわともれはじめる箇所はたくさんあります。

そして、冷却水は、一度入れたらずっとそのままで良いものではありません。冷却水にふくまれる防錆剤や消泡剤などの添加剤は、熱にさらされつづけることで少しずつ性能が劣化していきます。最近の車にはスーパーLLCという長寿命タイプが使われており、新車から7年〜10年ていどは無交換でOKとされていますが、それでも過信は禁物です。

定期点検の際や車検のときには、プロの整備士に濃度と劣化具合をチェックしてもらうようにしましょう。

冷却水がマックスより上だと故障する?総括

「マックスの線より上に入っていれば安心」という思いこみが、実はエンジンルームの汚れや部品の腐食をまねく原因になることがおわかりいただけたかと思います。

大切なのは、メーカーが指定した適正な範囲内で管理することです。もし誤って入れすぎてしまったら、スポイトなどで抜き取るというひと手間を惜しまないでください。その少しの気づかいが、水温異常やサビによるつまりといったおおきなトラブルを未然にふせぐことにつながります。

愛車の血液ともいえる冷却水。適正な量と濃度、そして日々の目視点検をセットにして、快適なカーライフを楽しんでください。

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