夏のドライブを快適にすごすために欠かせないカーエアコンですが、いざ使おうとした時に「あれっ!?風がぬるい」と感じたことはありませんか。
その原因のおおくはガス量の不足や不具合にありますが、自分でどうチェックすべきか迷うかたもおおいはずです。この記事では、初心者でも試せる目視での確認方法から、サイトグラスがない最新車種での診断のコツ、さらにはDIY補充のリスクとプロによるクリーニングのメリットまでを詳しく解説します。
この記事を読めば、冷えない原因の特定方法と、愛車のエアコン性能を100%引き出すための対処法がわかります。
記事のポイント
エアコンの効きが悪い時は、まずサイトグラスでガス量を点検
サイトグラスがない車は配管の結露や温度を触って確認
異音や頻繁な作動停止は、エアコンのガス量不足の重要なサイン
正確なガス量管理は、燃費向上やコンプレッサーの故障予防に直結
プロによるガスクリーニングが、冷房性能を上げる最短の方法
目 次
カーエアコンのガス量を確認する方法は?

カーエアコンの冷えがわるいと感じたとき、まず最初におこなうべきは、本当にガスが足りないのかの現状把握です。ガスはおおすぎてもすくなすぎてもエアコンの効率を低下させます。
ここでは、特別な工具がなくてもできるセルフチェックから、一歩ふみこんだ確認方法までを解説します。
エアコンガスとは?
カーエアコンの冷房システムにおいて、熱を運ぶ血液のような役割をはたすのがエアコンガス(冷媒)です。
現在、ほとんどの乗用車にはHFC-134aというガスが使用されていますが、2018年頃からの新型車には環境負荷の低いHFO-1234yfへの切りかえがすすんでいます。
エアコンのしくみは、ガスが液体から気体へ蒸発する際の気化熱を利用して空気を冷やすものです。
家庭用エアコンとことなり、車は走行時の振動やエンジンの熱、ゴムホースの劣化など過酷な環境にさらされています。密閉されたサイクル内であっても、年間で数グラムから数十グラムていど、自然にもれだしてしまうことがあります。
ガスが規定量よりすくなくなると、熱を効率よく排出できなくなり、冷房の効きが悪化します。また、ガスにはコンプレッサーを潤滑するためのオイルも混ざっているため、ガス不足はたんに冷えないだけでなく、高額なコンプレッサー故障をまねくリスクもふくんでいます。
エアコンのガスが少ない時の症状は?

ガスが不足しはじめると、最初にでるサインは「以前より冷えが悪くなった」という感覚的な変化です。設定温度を一番さげても、ふきだし口からでる風がぬるく感じたり、冷えるまでに時間がかかったりします。
より具体的な症状としては、以下の3点があげられます。
- コンプレッサーの動作音が頻繁になる、または異音がする
ガスがすくないとシステム内の圧力が安定せず、コンプレッサーのON/OFFが異常にくりかえされます。「カチッ」というマグネットクラッチの作動音が信号待ちのたびに聞こえるばあいは要注意です。 - フロントガラスの曇りが取れにくい
エアコンには除湿機能があるため、ガス不足で機能が低下すると雨の日の視界確保に支障がでます。 - 異臭や「シュー」という音
まれに、エバポレーター付近からガスがもれる際の流動音が室内に聞こえることがあります。
これらの症状を放置すると、冷媒不足によりコンプレッサーが焼きつき、修理代が10万円をこえることもあるため、初期症状での見きわめが肝心です。
カーエアコンのガス量の確認方法は?
もっとも確実で簡単な確認方法は、エンジンルーム内にあるサイトグラスを確認することです。これは、エアコン配管の一部にあるちいさな透明ののぞき窓です。
【確認の手順】
- エンジンをかけ、エアコンをA/C ON、温度は最低(MAX COLD)、風量は最大に設定します。
- 窓を全開にして、数分間運転させ、システムを安定させます。
- サイトグラスの中をのぞき、状態を観察します。
【見分け方の目安】
- 適量:透明で時折ちいさな泡が流れる、または気泡がまったく見えない状態。
- 不足:白い泡(気泡)がたえまなくブクブクとはげしく流れている。
- ほぼ空:なにも見えない、あるいはオイルの跡のようなよごれだけが見える。
ただし、最近の車(特に電動コンプレッサーを搭載したハイブリッド車やEV)には、サイトグラス自体が存在しないモデルが増えています。そのばあいは、ゲージマニホールドを用いた圧力測定が必要になります。
サイトグラスがない車のエアコンガスの確認は?
近年の新型車や、高効率なシステムを採用している車両では、サイトグラスが廃止されています。これは、冷媒の適正範囲が非常に狭くなり、目視による気泡の有無では正確な量を判断できなくなったためです。
サイトグラスがないばあい、DIYで正確な残量を知る術はほぼありません。しかし、簡易診断としては、エアコン作動中に低圧側の配管(Lのキャップがある太いほうの管)をさわってみる方法があります。正常であれば、この配管は結露するほどキンキンに冷たくなります。もしここが生ぬるいのであれば、ガス不足の可能性が高いです。
最終的には、エアコンサービスステーションという機械を使い、一度ガスを全量回収して重量を計測するしかありません。最近の車はガス量が「450g ± 10g」のように非常にシビアに指定されており、サイトグラスで判断する時代から、重量で管理する時代へと変わっています。
車のエアコンガスのゲージの見方

セルフチェックのために簡易チャージホース(ゲージ付き)を購入される方もおおいでしょう。このゲージは圧力をしめしており、色のついたゾーンで状態を判断します。
- 青色ゾーン(適正)
一般的に2kgf/cm²〜3kgf/cm²(0.2〜0.3MPa)ていど。エンジン回転数をあげてもこの範囲で安定していればおおむね良好です。 - 黄色・白色ゾーン(不足)
圧力が低い状態。ガスを補充する必要があります。 - 赤色ゾーン(過充填・異常)
圧力がたかい状態。ガスの入れすぎ、あるいはコンプレッサーや電動ファンの故障が疑われます。
- 注意点
このゲージがしめすのはあくまで低圧側の圧力であり、外気温によって適正値が変動します。たとえば、猛暑日には圧力がたかめにでるため、正常なのに「入れすぎ」と誤認したり、逆に寒い日には「不足」と勘違いしがちです。ゲージを見る際は、かならずその時の気温におうじた適正圧力を参照してください。
カーエアコンのガス量を確認する方法は?│エアコンガスクリーニング、プロへ依頼など

ガスが足りないと分かったとき、次に考えるべきは、どうやって正常な状態に戻すかです。
単にガスをつぎたすだけでは解決しないケースもおおく、車両のコンディションにあわせた複数のアプローチが必要です。
エアコンを入れても冷えないのはエアコンガスの漏れが原因?

冷えない=ガス補充と考えがちですが、実はガス漏れ以外の原因も多々あります。冷えない原因の約6〜7割がガス関連ですが、残りの3割は電気系統やメカニカルな故障です。
- コンプレッサーの故障
ガスを圧縮するポンプ自体がうごいていないケース。 - 電動ファンの故障
コンデンサー(ラジエーターの前にある網状の部品)を冷やすファンが回っていないと、走行中は冷えるが停車中にぬるくなります。 - 温度調節フラップの故障
エアコンユニット内部の仕切り板がうごかず、冷風に温風が混ざってしまうトラブルです。 - 詰まり
配管内のレシーバードライヤーやエキスパンションバルブがゴミや水分で詰まると、ガスがあっても冷えません。
「ガスを入れた直後は冷えるが、数日でまた冷えなくなる」というばあいは、どこからか漏れています。このばあい、補充をくりかえすのはお金の無駄だけでなく、環境にも悪影響をおよぼします。
- 環境省(フロン排出抑制法)
エアコンガスの不足が原因ではない場合

ガスが規定量入っているのに冷えない、あるいはガス漏れではないばあいの診断は複雑です。まず疑うべきは汚れとセンサー類です。
もっとも見落とされがちなのが、車内のエアコンフィルターの目づまりです。風量が落ちることで熱交換がうまくいかず、冷えが悪いと感じます。また、エンジンルームのコンデンサーに虫や泥が詰まっているばあいも放熱をさまたげます。
制御面では、外気温センサーや内気温センサーの故障、あるいは圧力スイッチの不具合が考えられます。これらはECU(コンピューター)が異常ありと判断してコンプレッサーを保護のために止めてしまう現象です。
こうなると、圧力ゲージだけでは原因が特定できず、専用の診断機(スキャンツール)を接続して、どの数値が異常かをよみとる作業が必要になります。
エアコンガスクリーニングで冷房の効きは高くなる?

最近、ガソリンスタンドや量販店でエアコンガスクリーニングというメニューをよく見かけるようになりました。これは効果的なメンテナンスです。
作業内容は、専用マシンで車内のガスを一度すべてぬきとり、不純物(水分や劣化したオイル)をろ過して取りのぞいたあと、不足分を1g単位で正確に補充してもどすというものです。
- メリット1 正確な充填量
今の車は少しの過不足でも性能が落ちますが、新車時ですら規定量に数10g足りないケースがあります。これをリセットできるのはおおきいです。 - メリット2 水分の除去
システム内の水分は、内部腐食や凍結による詰まりの原因になります。
これを実施すると、吹きだし口温度が2〜3度下がることも珍しくありません。数年以上メンテナンスしていない車や、中古車を購入した際にはおすすめです。
車のエアコンガス補充のやり方は?

DIYで補充をおこなうばあいは、低圧側のサービスポートにチャージホースを接続して行います。
- 車両側の「L」と書かれたキャップをはずし、ホースをカプラーオンで接続します。
- エンジンをかけ、エアコンをフルパワーでうごかします。
- ガス缶を接続する前に、ホース内の空気を抜くエアパージをおこないます(これを忘れると配管に空気がはいり、故障の原因になります)。
- 缶を垂直に立て、少しずつバルブを開けてガスを注入します。
- 重要ポイント
ガス缶を逆さまにして液充填をおこなうのは厳禁です。液体がそのままコンプレッサーに入ると液圧縮を起こし、コンプレッサーの故障をまねきます。また、DIYキットのゲージは精度に限界があるため、少しずつ慎重に入れる必要があります。
補充はDIYではなくプロに依頼すべき?
最近の車であればあるほど、プロへの依頼をおすすめします。
理由は3つあります。
- 過充填のリスク
ガスは「おおければおおいほど冷える」わけではありません。入れすぎると逆に冷えなくなり、最悪のばあい、高圧カットが働いたり配管に悪影響がでたりします。 - 空気と水分の混入
DIYでは配管内に空気が混じりやすく、これがコンプレッサーの寿命をちじめます。プロは真空引きという工程で空気を完全に抜いてから充填します。 - 新型ガスの取り扱い
2018年以降のR-1234yf採用車は、ガス缶1本が非常に高価で、機材も専用品が必要です。
工賃はかかりますが、プロなら漏れ検知剤によるリークチェックも同時におこなえます。自分でやってコンプレッサーを壊し、10万円の修理代になるリスクを考えれば、数千円〜1万円程度のプロの作業は決してたかくありません。
カーエアコンのガス量を確認する方法は?│総括
カーエアコンの効きがわるくなる原因はさまざまですが、まずはご自身でサイトグラスや配管の温度をチェックし、現在のガス量が適切かどうかを把握することが第一歩です。
今回ご紹介した確認方法を参考に、もし不足や異常がうたがわれるばあいは、無理にDIYで完結させず、正確な充填ができるプロのクリーニングや点検を検討してみてください。
適切なメンテナンスこそが、高額な故障をふせぎ、真夏でも冷える快適な車内空間を維持する近道です。