厳しい寒さがやってくると、車の暖房は欠かせない存在になりますね。冷え切った朝の通勤や、冬のレジャーでの移動も、暖かい車内はまさに天国です。
さて、皆様はその暖房をお使いになる際、エアコンパネルにある「AC」のスイッチはどうされていますか?
「暖かい風が欲しいだけだから、ACはつけないのが当たり前」「燃費がもったいないから」と、意識的にスイッチをオフにしている方がほとんどではないでしょうか。しかし、その何気ない習慣が、実は愛車のコンディションや将来の修理費用に、思わぬ影響を与えている可能性があるのです。
この記事では、「冬場の暖房とAC」という、多くの方が疑問に思われているテーマについて、なぜACをオンにした方が良いのか、その理由を分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
事のポイント
冬にACをつけないと、コンプレッサー内部の潤滑不足になることも
ACをつけないと除湿できず、窓が曇り視界が悪化
ACオフでエバポレーターに湿気が溜まり、カビや雑菌が繁殖し臭うことも
ACオンの燃費悪化はわずか。エアコン修理費よりずっとお得
オートエアコンなら「AUTO」が正解。全て自動で最適制御
目 次
車の暖房でACをつけないデメリットについて

「燃費の悪化」が心配で、暖房時はACつけないという方が多いと思います。しかし、最近の車は非常に賢く制御されており、その影響は最小限です。わずかな燃費を気にして将来のエアコン修理費用や窓が曇るというリスクを負うよりも、ACをオンにしておくメリットの方がはるかに大きいと言えるでしょう。
冬場の暖房はACオンにするべきですか?
冬場において、車の暖房を使用する際にA/Cをオンにすることは、多くのメリットがあります。まず、ACをオンにすることで、車内の湿気を除去し、窓の曇りを効果的に防ぐことができます。これにより、視界をクリアに保ち、安全な運転をサポートします。
さらに、エアコンシステムを定期的に稼働させることで、コンプレッサーやシールなどの部品の潤滑が保たれます。これにより、システム全体の健康を維持し、故障のリスクを低減することができます。
ただし、燃費への影響を気にする場合は、状況に応じてACを調整することも重要です。総じて、冬場の暖房時にACをオンにすることは、快適性とシステムのメンテナンスの両方の観点から理にかなっています。
車の暖房はACつけないと壊れる原因になる?

冬場でも定期的にACスイッチをオンにすることをおすすめします。これは、エアコンシステムを良好な状態に保つためのメンテナンスの一つです。
車のエアコンシステム内部には、冷媒ガスと一緒に「コンプレッサーオイル」という潤滑油が循環しています。このオイルは、エアコンの心臓部である「コンプレッサー」を滑らかに動かしたり、部品のつなぎ目にあるゴム製のパッキンが乾燥するのを防いだりする、非常に大切な役割を担っています。
しかし、ACスイッチを長期間オフにしたままだと、このオイルがシステム内を循環しなくなってしまいます。すると、ゴムパッキンがオイルで潤されない状態が続き、徐々に乾燥して硬化してしまいます。その結果、硬くなったパッキンに隙間ができてしまい、そこからエアコンガスが少しずつ漏れ出てしまいます。
そして、いざ翌年の夏にエアコンを使おうとした時に「まったく冷たい風が出ない!」という事態に繋がります。エアコン故障の多くは、この「ガス漏れ」が原因です。
こうした故障を防ぐためにも、冬場であっても、週に1回、もしくは月に1〜2回、10分程度ACスイッチをオンにすることを推奨します。
「暖房中にACをつけたら寒くなるのでは?」とご心配かもしれませんが、その必要はありません。車の暖房はエンジンの排熱を利用する仕組みですので、ACをオンにしても暖かい風は出続けます。
むしろ、冬場にACをオンにすることには、もう一つ大きなメリットがあります。それは「除湿効果」です。
ACには強力な除湿機能があるため、雨の日や寒い朝など、車内の湿気で窓ガラスが真っ白に曇ってしまった際に、素早く曇りを取り除くことができます。安全運転のためにも非常に有効な機能です。
車の暖房はACつけないと臭いの原因になる?
「久しぶりに暖房をつけたら、なんだかカビ臭いような、酸っぱいような嫌な臭いがしてきた…」
実はその不快な臭い、冬場にACスイッチをオフにし続けていることが原因の一つかもしれません。
この臭いの主な原因は、エアコンユニットの内部にある「エバポレーター」という部品で繁殖したカビや雑菌です。
エバポレーターは、冷房を使う際に空気を冷やすための重要な部品です。夏場に冷房を使用すると、この部分は非常に冷たくなり、空気中の水分が結露して水滴がたくさん付着します。ちょうど、冷たいジュースを入れたコップの周りに水滴がつくのと同じ現象です。
通常、この水滴は車外へ排出されますが、エンジンを停止するとエバポレーターの温度が上がり、残った水分とホコリなどを栄養源にして、カビや雑菌が繁殖しやすい環境が生まれてしまいます。
そして冬になり、ACをオフにしたまま暖房のスイッチを入れるとどうなるでしょうか。
送風ファンによって送り出された空気は、夏場にカビが繁殖してしまったエバポレーターを通過して車内に送られます。その結果、カビの胞子や雑菌の臭いが暖かい風と一緒に車内へと充満し、「暖房が臭い」と感じてしまうのです。
この問題を解決、そして予防するためにも、冬場の暖房使用時に定期的にACスイッチをオンにすることが効果的です。
ACをオンにすると、除湿機能が働きます。これにより、車内の湿気だけでなく、エアコン内部の湿気も取り除くことができます。エアコン内部を乾燥した状態に保つことで、カビや雑菌が繁殖しにくい環境を作り、臭いの発生を抑制することができるのです。
すでに臭いがひどい場合は、ACをオンにするだけでは改善が難しいかもしれません。その際は、臭いの元が溜まっている「エアコンフィルター」の交換や、専門の機材を使った「エバポレーター洗浄」といった、プロによるクリーニングをおすすめします。
車の暖房はACつけないと曇る

車の暖房はACをつけないと曇りの原因になります。
そもそも、なぜ冬場に窓は曇るのかというと、車内の「暖かい・湿った空気」が、外気で冷やされた「冷たい窓ガラス」に触れることで、空気中の水分が水滴となってガラスに付着する「結露」という現象が起きるからです。
冬の車内は、乗っている人の呼気や、濡れた傘・靴・コートなどから多くの水分(湿気)が放出され、私たちが思う以上に湿度が高い状態になっています。
ここでACをつけずに暖房だけを使うと、車内の温度は上がりますが、湿度は高いままです。暖かい空気はより多くの水分を含むことができるため、結果として窓ガラスの結露、つまり曇りがさらに発生しやすい状況を作り出してしまいます。「温かい風を当てているのに、一向に曇りが取れない…」というのは、このためです。
では、どうすればこの頑固な曇りを解消できるのか。
ここで活躍するのがACスイッチです。
車のACには、空気を冷やす「冷房機能」だけでなく、空気中の水分を取り除く「除湿機能」という重要な役割があります。
暖房中にACスイッチをオンにすると、まずエアコンシステムが車内の湿った空気を取り込み、その水分を強力に除去します。そして、その除湿された乾燥した空気を、エンジンの熱を利用して暖め直してから車内に送り出します。
つまり、「暖かく、かつ乾燥した空気」が窓ガラスに当たることで、ガラスに付着した水分(曇り)を効率よく蒸発させ、クリアな視界を素早く確保することができます。
車の暖房でACつけないと燃費が良くなる?
理論上はACスイッチをオフにした方が燃費は良くなります。しかし、その差はごくわずかであり、それによって生じるデメリットの方が大きい場合もあります。
まず、なぜACをオンにすると燃費が悪化するのかを説明します。
ACスイッチを入れると、エアコンシステムの心臓部である「コンプレッサー」という装置が作動します。このコンプレッサーは、エンジンの力を使ってベルトで駆動されています。つまり、ACをオンにすると、エンジンは車の走行に加えてコンプレッサーを動かすという「追加の仕事」をしなければならず、その分だけ余計に燃料を消費するため、燃費が悪化するのです。
一方、車の暖房は、走行中に発生するエンジンの排熱(エンジンを冷やすための冷却水の熱)を再利用しています。もともと捨てられるはずだった熱を車内に引き込んでいるだけなので、ACをオフにして暖房だけを使っている状態では、燃費への影響はほとんどありません。(厳密には送風ファンのモーターを動かす電気を消費しますが、影響は微々たるものです)
冬場にACをオンにした際の燃費への影響は、夏場の冷房使用時と比べて軽微であることが多いです。なぜなら、冬場は除湿を主な目的としてコンプレッサーが断続的に作動するのに対し、夏場は車内を冷やすためにコンプレッサーが常に高負荷で稼働し続けるからです。
そして何より、わずかな燃費を節約するためにACをオフにし続けることで、
- エアコンシステムの潤滑不足によるガス漏れのリスク(将来の高額な修理費につながります)
- 窓ガラスの曇りによる視界不良(安全運転の妨げになります)
- エアコン内部でのカビの繁殖による不快な臭いの発生
といった、さまざまなデメリットが生じることがあります。
目先のわずかな燃料代を節約するために、愛車のコンディションを悪化させたり、安全性を損なったりするのは、決して賢明な選択とは言えません。将来的なエアコンの修理費用は、節約できた燃料代をはるかに上回ってしまうケースがほとんどです。
車の暖房でACをつけないデメリット│AUTOモード、AC付けっぱなしなど

AUTOモード活用で効率的に運用し、定期的にオンにすることでエアコンを正常に保ちます。燃費低下は最小限で、快適・安全なドライブを実現します。また、ACスイッチが付けっぱなしでも、車に搭載されたセンサーが車内の温度や湿度を常に監視して、自動的にエンジンへの負荷を賢く調整してくれます。
車の暖房はAUTOが正解?

もし愛車がオートエアコン搭載車であれば、一年を通して「AUTO」に設定しておくのが最も賢い使い方であり、冬の暖房においても「正解」です。
なぜなら、「AUTO」モードは冬場のA/C活用のメリットを、すべて自動で最適に行ってくれる、非常に優れたシステムだからです。
「AUTO」ボタンを押すと、車は内蔵された様々なセンサーを駆使して、以下の項目をすべて自動でコントロールします。
- 設定温度に合わせた風量の調整
- 効率よく室内を暖めるための吹き出し口の切り替え(例:暖かい空気は上昇しやすいため、最初は足元から重点的に送風する、など)
- 車内の空気の状態に応じた内外気の切り替え
- そして最も重要な、除湿や曇り止めのためのA/CコンプレッサーのON/OFF
ドライバーが「窓が曇ってきたな…」「なんだか空気が湿っぽいな…」と感じる前に、車が状況を判断し、最適なタイミングで自動的にACを作動させて除湿を行ってくれます。もちろん、定期的にACが作動することで、エアコンシステムの故障予防にも繋がります。
「AUTOだとACが勝手について、燃費が悪くなるのでは?」という不安も湧いてきますが、AUTOモードは、常にACを動かし続けるわけではありません。センサーが「今は除湿の必要がない」と判断すれば、自動でACコンプレッサーをオフにして、無駄な作動を抑えてくれます。手動でこまめにON/OFFを繰り返すよりも、結果的に効率が良く、燃費への影響も最小限に抑えられることが多いのです。
オートエアコンの性能を最大限に引き出すための最も良い方法は、非常にシンプルです。
1.「AUTO」ボタンを押す
- ご自身が快適だと感じる温度(例えば22℃など)に設定する
あとはすべて車にお任せください。風が強いと感じても、しばらくすれば自動で調整されますので、むやみに風量ボタンなどを操作しないのがコツです。(一度手動で操作すると、AUTO制御が解除されてしまう車種が多いためです。)
車はACつけっぱなしの方がいい?
現代の車においては、基本的にA/Cは「つけっぱなし」(オートエアコンの場合は「AUTOモード」)にしておくのが、最も賢明な使い方です。
ここで多くの方が懸念されるのが、「つけっぱなしだと燃費が悪くなるのでは?」という点だと思います。確かに、ACコンプレッサーが作動するとエンジンに負荷がかかるため、燃費に全く影響がないわけではありません。
しかし、ぜひ知っておいていただきたいのは、最近の車のエアコンは非常に賢く制御されているということです。
ACスイッチがオンの状態でも、コンプレッサーが常にフルパワーで動き続けているわけではないのです。車に搭載されたセンサーが車内の温度や湿度を常に監視しており、「今は除湿の必要がない」と判断すれば、自動的にコンプレッサーの作動を停止、あるいは最小限の力に抑えることで、エンジンへの負荷を賢く調整してくれます。
ドライバーが意識しなくても、車自身が常に最適な省エネ運転を行ってくれているのです。そのため、ACをつけっぱなしにすることによる燃費の悪化は、心配するほど大きなものではなくなっています。
わずかな燃費を気にしてACをこまめに操作する手間や、いざという時に窓が曇って危険な思いをしたり、数年後に高額なエアコン修理費用が発生したりするリスクを考えれば、ACを常時オンにしておくメリットの方がはるかに大きいです。
ACをオフにするとどうなるの?

冬場にACをオフにすると、いくつかの影響が車に及ぶことがあります。まず、湿気の管理ができないため、車内の窓が曇りやすくなります。これは視界を遮り、安全運転に支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。
さらに、ACを長期間使用しない状態が続くと、システム内の潤滑が不十分になりがちです。これにより、コンプレッサーやシールなどの部品が劣化し、最終的には故障のリスクが高まることがあります。エアコンオイルが循環しないため、部品の摩耗が進むからです。
ACを定期的に使用することで、これらの問題を予防できるので、冬場でも適度にACを稼働させることをおすすめします。車のパフォーマンスと寿命を考慮し、バランスの良い使用方法を心がけることが重要です。これは、車の良好な状態を維持し、長持ちさせるための賢い選択といえます。
車の暖房はエンジンオフでも使えますか?
車の暖房システムは、主にエンジンが発する熱を利用して車内を温めています。そのため、エンジンをオフにした状態では、暖房は通常機能しません。エンジンが動いていなければ、冷却水が循環せず、熱を供給できないためです。
一部の車両には補助的な電気式ヒーターが装備されている場合もありますが、これを使う場合でもバッテリーへの負担が大きいため、長時間使用するのは避けるべきです。バッテリーが上がる原因となる可能性があります。
したがって、快適な暖房を維持するためにはエンジンが稼働している必要があります。エンジンを適切に稼働させ、車内を温めることをおすすめします。
車の暖房でACをつけないデメリット│総括
冬場に車の暖房を使用する際、ACをオンにすることは快適さと車両の健康維持に大いに役立ちます。ACをオンにすれば、車内の湿気を除去して窓の曇りを防ぎ、安全な視界を確保できます。また、定期的にA/Cを使用することで、エアコンシステム内の部品を潤滑し、故障のリスクを減らすことができます。
燃費への影響を考えることも大切ですが、快適さやシステムメンテナンスの観点から、適度にACを活用することが賢明です。これにより、安全で快適なドライブを楽しむことができます。