愛車のフロント部分を見たとき、ラジエターがなんだか変形しているのを見つけた経験はありませんか?
「飛び石でも当たったのかな?」「このまま乗ってて平気?」
ラジエーターのフィンに潰れがあると、「エンジンの冷却に影響はないのだろうか…」と心配になりますよね。
実は、その潰れの程度によっては、車のオーバーヒートに発展してしまう可能性もあります。
今回は、ラジエーターのフィンの潰れという問題について、その原因から影響、修理費用まで、解説していきたいと思います。
記事のポイント
フィンの潰れは、冷却効率低下でエンジン過熱に繋がる
主な原因は、走行中の飛び石や高圧洗浄機の強すぎる水圧
軽い潰れなら、専用工具を使い自分で修正することも可能
損傷がひどい場合は、ラジエーター本体を丸ごと交換する必要
交換費用は数万円からと、車種や部品によって大きく異なる
目 次
ラジエーターフィンが潰れてるけど大丈夫?

潰れたフィンがあると、冷却性能が低下し、エンジンの過熱や性能低下を引き起こす場合があります。
ラジエーターフィンが潰れたときの影響は?

ラジエーターのフィンは、エンジンからの熱を持った冷却水を外気で冷やすための「放熱板」です。
このフィンが何らかの原因で潰れた場合、車の冷却性能にどのような影響が出るのか、具体的に解説します。
冷却効率の低下
フィンが潰れると、空気の流れる面積が減るため、ラジエーターの冷却効率が低下します。
フィンはチューブ同士の間にアルミの薄板を波状に配列して放熱面積を増やす構造ですが、ここが潰れると風が上手く通らず、熱交換がうまくいかなくなります。
特に運転中の風圧を利用した空冷効果が損なわれ、エンジンの温度が下がりにくくなります。
オーバーヒートの原因にもヘッドライト
冷却効率が落ちると、エンジンやラジエーター自体の温度が上がりやすくなります。
そのまま放置しておくと、オーバーヒートの原因となります。
特に夏場や高速走行時、エアコンのフル稼働時などは十分な冷却が求められるため、注意が必要です。
循環不良と劣化
フィンの潰れが一部分にとどまる場合は目立った不具合が出ないこともありますが、広範囲にわたる場合は冷却水の循環不良を引き起こしやすくなります。
また、経年劣化によって内部にサビや水垢がたまり、さらに冷却効率が下がる悪循環に陥ることもあります。
日常点検では、冷却水の減り具合や水温計の動きにも注意しましょう。
クリーニングや修正について
フィンの潰れ具合が軽ければ、専用工具を使って自分で修正することも可能です。
ただし、ある程度の技量が必要ですし、無理に作業してしまうと逆にフィンを傷めることもあります。
状態がわからない、不安な場合は、早めに整備工場で点検を受けることをおすすめします。
ラジエーターフィンが潰れる原因は?
ラジエーターフィンが潰れる主な原因は、外部からの物理的な衝撃や不適切なメンテナンスです。
具体的には、走行中の飛び石や小石、虫の衝突が非常に多い原因の一つです。
これらがフィンに直接当たることで潰れや曲がりが生じ、フィンの形状を損ないます。
また、洗車時に使う高圧洗浄機の水圧が強すぎてフィンに近づけすぎると、高圧の水流でフィンが変形・潰れてしまうこともあります。
さらに、ラジエーター内部で異常な圧力が発生した場合もフィンが潰れる原因になります。
例えば、ファンベルト切れによる冷却水の循環停止で水温が急上昇し、内部の圧力が過剰に上がると、細い管(細管)が膨れ上がり、その結果としてフィンが内側から押し潰されるケースもあります。
これは外部からの衝撃とは異なり、内部圧力によるダメージです。
このように、ラジエーターフィンの潰れは「外的要因」と「内部圧力異常」の2つの大きな原因に分けられます。
どちらも放置すると冷却効率の低下や、エンジンオーバーヒートのリスクが高まるため注意が必要です。
日頃から飛び石に注意し、洗車時は高圧洗浄機の水圧と距離を適切に管理することが重要です。
ラジエーターフィンの潰れは修理できる?

ラジエーターフィンが潰れてしまった場合でも、必ずしも交換する必要はありません。
特に軽い潰れや損傷の場合、専用の工具を使って修正することが可能です。
ここでは、潰れたフィンを修正する方法について説明します。
修正方法
フィンを修正するには、ピンセットや専用のフィン修正ツールを使用します。
ピンセットは、フィンが薄いアルミニウム製で敏感なため、慎重に取り扱う必要があります。
フィンを一つずつ丁寧に起こしていくのが基本で、急いで作業するとさらに損傷を与える可能性があります。
専用のフィン修正ツールとしては、「KEIBA メタペン」などがあります。
これは、フィンを修正するために特化した薄いプライヤー状の工具で、フィンに沿ってスムーズに修正できます。
また、個人的なおすすめとしては、マイナスの精密ドライバーと爪楊枝を使用することも有効です。
修正の注意点
修正作業は、特にフィンが深く潰れたり、破損している場合には難易度が高くなります。
時間に余裕を持って行うことが重要です。
また、フィンが完全に破損している場合は、修正が難しい場合もあり、交換が必要になることもあります。
潰れたラジエーターフィンの起こし方
潰れたラジエーターフィンを起こす基本は、潰れたフィンを一本ずつ丁寧に元の形に戻す作業です。
使う道具としては、ピンセットや、専用のラジエーターフィン修正工具(たとえば「ケイバ メタペン」などの薄くて平たい先端をもつプライヤー)が適しています。
作業を始める前に、まずラジエーターに刺さった小石や異物を慎重に取り除きます。
次に、フィンが曲がって潰れている部分に道具を差し込み、少しずつゆっくりと起こしていきます。
この時、焦って力を入れすぎたり急ぐと、フィンがさらに割れたり折れてしまうため、必ず時間に余裕を持って慎重に作業を行うことが重要です。
薄いアルミ製のフィンは非常に繊細なので、工具の先端がフィンに当たらないよう細心の注意を払いましょう。
実際の作業時間は潰れの程度によりますが、30分程度かけて丁寧に修正することで多くのフィンが元通りになり、冷却性能の改善につながります。
ただし、完全に折れている部分は無理に直さず、そのままにしておくのが安全です。
ラジエーターフィンが潰れてるけど大丈夫?│仕組みや交換費用

ラジエーターは、車の心臓部であるエンジンを熱から守る、非常に重要な冷却装置です。
ラジエーターの交換には、軽自動車であれば部品代と作業工賃を合わせて2万円〜5万円程度が多く、普通車では5万円〜10万円程度かかるケースが多いです。
エンジン冷却を担うラジエーターの仕組み
ラジエーターは、エンジンを過熱から守るために不可欠な部品です。
主に以下の仕組みでエンジンを冷却しています。
ラジエーターの構造
ラジエーターは、主に以下の部分で構成されています。
- タンク:
アッパータンクとロアータンクがあります。
アッパータンクは高温の冷却液を一時的に貯め、ロアータンクは冷却された液をエンジンに送り返します。 - コア部:
チューブとフィンで構成されており、冷却液が通るチューブに沿って細いアルミニウムのフィンが並んでいます。
冷却の仕組み
エンジンが稼働すると大量の熱が発生します。
この熱を冷却水(クーラント)が受け取り、ラジエーターのコア部を通過しながら空気の風で冷やされます。
具体的な冷却プロセスは以下の通りです。
- エンジンからの熱吸収:
エンジンのウォータージャケットを通る冷却水がエンジンの熱を吸収し、高温の冷却水がアッパータンクに送られます。 - ラジエーターでの冷却:
アッパータンクからラジエーターのコア部に冷却水が流れ込み、冷却液はチューブを通って下方に流れ下がります。
ここで、走行風やファンによって冷却されます。 - 冷却後の冷却水の循環:
冷却水はロアータンクに集められ、再びエンジンへと戻ります。
これによりエンジンが適切な温度を保つことができます。
このように、ラジエーターはエンジンの過熱を防ぎ、車全体の性能や安全性を維持するために重要な役割を果たしています。
ラジエーターの基本的な役割

ラジエーターは自動車のエンジンを効率的に運転するための重要なパーツであり、主に以下の基本的な役割を果たしています。
- エンジンの冷却:
エンジンの運転中に生じる高温を和らげるため、ラジエーターは冷却液を使用して熱を排出します。
これにより、エンジンが適切な温度で動作し続けることが可能となります。 - 適正温度の維持:
ラジエーターがエンジン温度を適正範囲内に保つことで、不具合や故障のリスクが減少し、エンジンの寿命が延びます。 - 燃費の向上:
適切な温度制御によりエンジンの燃焼効率が上がり、結果的に燃費が向上します。
効率的な燃焼はエンジン性能の維持に直結します。 - エンジンパフォーマンスの最適化:
エンジンのオーバーヒートを防ぐことで、車全体のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
これにより、ドライビング体験も向上します。
ラジエーターの働きは、車両の信頼性を保つ上で欠かせないものです。
定期的な点検とメンテナンスを行い、その役割をしっかり果たせる状態を維持することが、車の健康を守る鍵となります。
ラジエーターフィンの交換費用
ラジエーターフィンの損傷がひどく交換が必要になった場合の費用は、車種や交換部品の種類、工賃によって大きく異なります。
一般的な目安としては3万円〜15万円前後が相場です。
軽自動車であれば比較的安価で、部品代と作業工賃を合わせて2万円〜5万円程度が多く、普通車では5万円〜10万円程度かかるケースが多いです。
交換費用の差は、以下の要因で変わります。
- 車種やラジエーターの構造の複雑さ
- 純正品か社外品かの部品の種類
- フロントバンパーの脱着など作業の難易度
- 交換を依頼する業者(ディーラーは工賃が高め)
たとえば輸入車や一部の大型車では15万円以上になることもあります。
また、部分的に修理できる場合は溶接などで1万円~3万円程度と費用を抑えられることもあるため、まずは状態を整備工場で点検してもらうことが重要です。
なお、ラジエーターフィンの軽微な潰れならば修理対応できる場合もありますが、フィン全体の損傷が大きいと交換が望ましいです。
交換時にはクーラントの補充や冷却系統全体のチェックも同時に行うことが多く、その分工賃が上乗せされるケースもあります。
総括│ラジエーターフィンが潰れてるけど大丈夫?
ラジエーターフィンが潰れていても、少しの範囲であれば大きな問題にならないこともあります。
しかし、そのまま放置すると冷却効果が低下し、オーバーヒートにつながるリスクがあります。
フィンの潰れは、飛び石や高圧洗浄機、経年劣化などが主な原因です。
軽度ならば専用の工具を使って修復できることもありますが、広範囲にわたる潰れや破損がひどい場合は、冷却効率が大きく下がるため、交換を検討することがベストです。