フロントガラスの交換費用が「20万もかかるなんて本当?」と驚かれる方も多いでしょう。
実は、車種やガラスの種類、さらに先進運転支援システム(ADAS)対応のセンサー付きガラスかどうかで、交換費用は大きく変わります。
軽自動車なら5万円台から交換可能な場合もありますが、高級車やセンサー付きのフロントガラスとなると20万円を超えることも珍しくありません。
この記事では、そんなフロントガラスの交換費用の内訳や高額になる理由、費用を抑えるポイントまで解説していきます。
記事のポイント
ガラス交換費は、車種や機能により5万~30万円と幅広い
ADAS搭載車は「エーミング」作業必須で費用が高額になる
ディーラーでの交換は純正品使用のため、高額になる傾向がある
500円玉以下の傷なら安価で早い「リペア」という選択肢も
車両保険で交換費用を補償できるが、等級ダウンも考慮すべき
目 次
フロントガラス交換が20万円?!

フロントガラスの交換費用が高額化する背景には、最新技術を搭載した車両ならではの特殊な調整作業や、品質を維持するための高額な部品費用が関係しています。
フロントガラス交換の料金はいくらくらいが相場?
フロントガラスの交換費用は、車種やガラスの種類、交換作業自体に必要な技術、さらには使用する部品によって異なります。
一般的に、この費用は5万円から15万円の範囲に収まることが多いです。
ただし、高級車や特殊な装備がついた車の場合、費用が20万円を超えるケースも珍しくありません。
あくまで一般的な目安ですが、料金はざっくりと以下のようになります。
- 軽自動車:5万円~10万円
- 国産の普通車(コンパクトカー、セダン、ミニバンなど):8万円~15万円
- 輸入車や一部の国産高級車:15万円~30万円、あるいはそれ以上
まず、純正部品を使用するか、それとも社外品を選ぶかが価格に大きく影響します。
純正品は品質が保証されており、フィット感も優れていますが、価格は高くなる傾向にあります。
一方で、社外品は比較的安価ですが、品質やフィット感にばらつきがある場合も少なくありません。
また、最近の自動車には多くの先進技術が搭載されており、センサーやカメラが付いたガラスの交換には特別な技術が求められることがあります。
このため、単純なガラス交換とは違って、これらの調整が必要となる場合は工賃が上乗せされるでしょう。
ディーラーでフロントガラス交換する費用は?

ディーラーでフロントガラスを交換する際の費用は、一般的に専門店よりも高くなる傾向があります。
具体的な費用は、車種やガラスの種類によって異なりますが、以下の通りです。
車種別の費用相場
- 軽自動車:約95,000円(純正品)です。
- 普通車:約144,000円(純正品)で、ディーラーではこれよりもさらに高くなることがあります。
- 高級車・輸入車:約150,000円~250,000円程度で、ディーラーではその上にさらに2~3万円の追加費用が発生することが一般的です。
特徴
ディーラーでは、メーカーの純正部品を使用し、厳密な基準に基づいた高い品質での修理や交換が期待できます。
また、メーカー保証が付帯されるケースも多く、長期的なメンテナンスを重視する方にはメリットがあります。
一方で、専門店に比べて費用が高くなるというデメリットもあります。
考慮点
- 費用:専門店と比較して2~3万円高くなることがあるため、比較して選択することが重要です。
- 品質と保証:純正品を使用するため、品質面での安心感があります。
- 保険の対応:保険特約がある場合、費用を抑えることが可能ですので、事前に確認することをおすすめします。
フロントガラス交換に30万なんてことも!

最近、フロントガラスの交換費用が非常に高額化しており、「30万円近くかかった」という話も珍しくありません。
なぜそんなに高くなるのか、その理由を具体的に説明します。
近年の車には、先進運転支援システム(ADAS)対応のカメラやセンサーがフロントガラスに装着されていることがほとんどです。
これらの装置は安全運転に直結するため、交換時には単にガラスを取り替えるだけでなく、エーミングと呼ばれるカメラやセンサーの再調整作業が必要になります。
このエーミングには5万円程度かかる場合が多く、これが交換費用を大きく押し上げる要因の一つです。
また、車種が高級車や輸入車、市場に特殊なガラスを用いる車の場合、純正品のフロントガラス自体の価格が高いため、その時点で15万円〜20万円以上になることが多いです。
その上にエーミングなどの作業費用が積み重なり、さらに工賃や税金を加算すると、合計で30万円近くになるケースもあります。
加えて、UVカットや遮音効果などの高機能ガラスを選択した場合、製品代と作業代がさらに増える傾向があります。
特に、車両安全性能を維持するための専用設計ガラスを取り扱う場合は、価格が跳ね上がります。
こうした高額費用を避けるためには、いろいろな選択肢の中から費用を比較することが重要です。
- 社外優良品
純正品を製造しているガラスメーカーなどが、ロゴを入れずに販売している製品です。
日本の安全基準(JISマーク)などをクリアしており、品質は純正品とほとんど遜色ありません。
それでいて、価格は純正品の5割~7割程度に抑えられることが多い、非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢です。 - 安価な輸入品
海外から輸入された、さらに価格の安いガラスです。
中にはガラスに歪みがあって視界が悪かったり、耐久性が低かったりするものも紛れているというリスクがあります。
フロントガラス交換が20万円?!│リペア、保険適用

もし傷が500円玉サイズより小さければ、「ウィンドリペア」で対応できるかもしれません。
また、保険適用についても解説します。
高額化するセンサー付きフロントガラスの交換
最近の車は、自動ブレーキや「車線逸脱警報」などの先進安全運転支援システムを支える、非常に重要なセンサー(カメラ)がフロント部分に取り付けられています。
このセンサーの登場によって、フロントガラス交換は、昔とは全く別次元の作業になりました。
そして、これが費用を高額にしています。
センサー付きガラスの交換がなぜ高いのかについて、2つの視点から解説します。
理由①:ガラス自体が高価で特殊なものになるから
センサーは、ガラスの向こう側にある「道路の白線」や「前の車」「歩行者」などを正確に認識しなければなりません。
そのため、センサーが取り付けられる部分のガラスは、
- 映像が歪まないよう、極めて高い精度で作られている
- センサーの取り付け位置が、ミリ単位で正確に決められている
といった特殊な仕様になっています。
製造コストもかかるため、ガラス本体の値段が普通のガラスに比べて格段に高くなります。
理由②:「エーミング」という専門作業が必須になるから
これが一番重要で、費用を押し上げているポイントです。
ガラスを交換する際、このセンサー(カメラ)も一時的に取り外して、新しいガラスに付け直します。
しかし、ただ付け直しただけでは、センサーの向きがわずかにズレてしまう可能性があります。
そのわずかなズレが、
- 100m先の車を、95m先と誤認識してしまう
- 道路の白線を正しく読み取れなくなる
といった認識エラーを引き起こすことになります。
そこで必要になるのが「エーミング(Aiming)」という作業です。
エーミングとは、簡単に言うと「センサーの照準調整」のこと。
専用のターゲット(的)と診断機を使って、「カメラが今、正しい方向を向いて、正しくモノを認識できているか」をチェックし、ズレていればメーカーの基準値に合わせて完璧に調整する作業です。
このエーミングは、誰でもできるわけではありません。
専門の知識と、高価な専用ツール、そして正確な作業を行うための広いスペースが必要です。
そのため、このエーミング作業だけで数万円の追加費用がかかるのが一般的です。
国土交通省も、安全装置に関わる整備については厳格なルールを定めており、センサー付きガラスの交換後はエーミングが必須となっています。(「特定整備」という国の認証が必要な作業です)
ガラス交換を回避する修復技術

傷の状態によっては「リペア(修復)」という方法で、交換よりもはるかに安く、早く、問題を解決できる可能性があります。
ウィンドリペアってどんな作業?
ウィンドリペアとは、簡単に言うと「傷の中に特殊な樹脂を注入して固め、それ以上傷が広がらないようにする」技術です。
作業の流れは以下になります。
- 傷のクリーニング
傷の中に入り込んだ水分や汚れを、専用の道具で丁寧に取り除きます。 - 樹脂の注入
特殊なインジェクター(注入器)を傷口にセットし、ガラスの内部に真空状態を作ってから、透明な液体樹脂(レジン)を圧力をかけて注入していきます。 - 硬化作業
樹脂が傷の隅々まで浸透したら、紫外線(UVライト)を当てて、樹脂をカチカチに硬化させます。 - 仕上げ
表面を平らに研磨して、作業完了です。
この作業によって、傷の内部が樹脂で満たされるため、ガラスの強度が回復します。
ウィンドリペアのメリット・デメリット
交換に比べて、ウィンドリペアには大きなメリットがあります。
【メリット】
- 費用が安い!
交換が数万円~数十万円かかるのに対し、リペアなら1か所あたり1万5千円~3万円程度で済みます。 - 作業時間が短い!
交換は半日~1日かかりますが、リペアなら数時間程度で完了します。 - 純正ガラスのまま!
交換するとガラスが変わってしまいますが、リペアなら愛車に元々付いていたガラスを維持できます。(特にADAS付きの車では、再設定などの手間が不要になるメリットも)
【デメリット】
- 傷跡が完全に消えるわけではない
あくまで「傷を目立たなくし、拡大を防ぐ」技術です。
光の当たり方によっては、修復した跡が見えます。 - すべての傷が直せるわけではない
ウィンドリペアには、対応できる傷の大きさに限界があります。
一般的には、傷の大きさが500円玉で隠れる程度まで、傷が運転席の目の前のエリア(デフロスターの範囲など)にないこと、などの制約があります。
車両保険でフロントガラスのヒビは補償されますか?

飛び石などによってフロントガラスにヒビや割れが生じた場合、車両保険で補償されることがほとんどです。
補償の対象は「飛来中・落下中の他物との衝突」による損害として扱われます。
一般的な車両保険のタイプ(一般補償タイプや限定補償タイプ)であれば、修理や交換費用が保険金の範囲内で支払われます。
ただし、実際に保険を使うかどうかは、慎重に判断する必要があります。
修理費用が免責金額(自己負担額)を下回る場合は、自己負担で修理したほうが翌年の保険料アップを避けられるケースもあります。
免責金額は契約内容によって異なり、例えば5万円や10万円など設定されていることが多いです。
修理費が免責以下なら保険は適用されませんし、免責を超える場合もその分だけ自己負担となります。
なお、いたずらや当て逃げなど加害者が明確な場合は警察に届け出ることも補償をスムーズに進めるうえで重要です。
飛び石の場合は、加害者が不明の単独事故扱いとなることが多いです。
保険を利用する際は、契約内容をよく確認し、修理費と保険料のバランスを考えて対応しましょう。
総括│フロントガラス交換が20万円?!
フロントガラスの交換費用が20万円以上になることは、現代のクルマでは珍しくありません。
特に、先進運転支援システム(ADAS)対応のセンサー付きガラスや高級車・輸入車の場合、ガラス自体の価格とエーミング作業の費用が高くなるため、20万円以上かかることがあります。
また、ディーラーでの交換は専門店よりも高額になる傾向があります。
一方で、飛び石による小さなヒビなら、修理(リペア)で対応することも可能です。
車両保険を活用することで費用を抑えることもできますが、免責金額や保険料の影響も考慮する必要があります。
フロントガラス交換の費用は、車種やガラスの機能によって大きく異なります。
費用を抑えたい場合は、社外品ガラスの利用や複数業者の見積もり比較検討をするようにしましょう。