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バンパーの割れが車検に与える影響は?合否を分ける3つの基準とは?

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マスタングのバンパー

車検前にふと気になるのが、バンパーの割れが車検にどう影響するかということです。

バンパーは車の見た目だけでなく、安全性にも直結する重要なパーツです。
この記事では、バンパーが割れている場合に車検に通るかどうか、どのような基準が適用されるのかについて詳しく解説します。

これを知っておくことで、車検前の準備に役立つはずです。

記事のポイント

バンパーの割れは安全性低下で車検不合格の可能性が高い
鋭利な突起やライトゆるみは車検で厳しくチェックされる
バンパーのずれはサイズと危険性で車検合否が決まる
補修テープは応急処置で車検を確実に通す手段ではない
修理歴は付くが、バンパー割れは基本的に修復歴には含まれない

バンパーの割れが車検に与える影響は?

バンパーを外して交換する整備士

バンパーが割れてたり破損してたら車検に通らない?
車検はバンパーがずれてても受かる?
バンパーの割れは補修テープで直せば車検に通る?
バンパー割れは修復歴になりますか?

バンパーが割れていると、歩行者や他の車に対して危険と判断され、不合格となる可能性が高いです。

バンパーが割れてたり破損してたら車検に通らない?

車検の検査官は、単に「割れているか」を見ているわけではありません。
その破損が「安全な走行を妨げないか」「他の交通の妨げにならないか」という視点で、以下のポイントを厳しくチェックしています。

ポイント1:鋭い「突起物」になっていないか?【最重要】
これが一番重要なポイントです。
もしバンパーの割れた部分がギザギザになっていたり、ささくれた破片が外側を向いていたりすると、「突起物」とみなされ、まず間違いなく車検には通りません。

なぜなら、万が一歩行者と接触してしまった場合、その鋭利な部分が相手に大きな怪我をさせてしまう凶器になりかねないからです。
道路運送車両の保安基準でも、車体の外側には鋭い突起がないように定められています。

ポイント2:ライト類やナンバープレートはしっかり固定されているか?
最近の車は、バンパーにウインカーやフォグランプが埋め込まれているデザインが多いですよね。
バンパーの破損によって、これらのライト類がグラグラしていたり、正しい位置からズレていたりすると不合格になります。
ライトがしっかり固定されていないと、走行中の振動で脱落したり、光の向きが変わって対向車を幻惑させたりする危険があるためです。

また、ナンバープレートも同様です。
割れたバンパーのせいでナンバープレートが傾いていたり、見えにくくなっていたり、外れそうになっていたりすれば、整備不良となります。

ポイント3:バンパー自体が脱落する危険はないか?
大きな割れや変形によって、バンパーが車体から外れかかっている状態は論外です。
走行中にバンパーが脱落すれば、後続車を巻き込む大事故につながる可能性があります。
結束バンドやガムテープで応急処置をしている車を時々見かけますが、これも注意が必要です。
検査官によっては「恒久的な修理とは認められない」と判断され、不合格となるケースがほとんどです。
あくまで一時的な処置と考えましょう。

最終的な判断を下すのは、車検場の検査官です。
「これくらい大丈夫だろう」という自己判断が、車検当日に「不合格」の判を押されて余計な時間とお金がかかってしまう一番の原因になります。

車検はバンパーがずれてても受かる?

バンパーの割れを確認する整備士

バンパーがずれている場合、検査官は「見た目」よりも、そのずれが引き起こす「危険性」がないかを見ています。

ポイント1:車検証に記載のサイズから、はみ出ていないか?
実は、車には車検証に記載された「全長」と「全幅」という決まったサイズがあります。
バンパーがずれたことによって、この規定のサイズを大きく超えてしまうと車検に通りません。

目安として、全長で±3cm、全幅で±2cmが許容範囲とされています。
バンパーの端が片方だけビヨーンと外側に飛び出して、この範囲を超えてしまうような「ずれ」は完全にアウトです。
メジャーで測って明らかにわかるほどの大きなずれは、まず不合格になると考えてください。

ポイント2:タイヤと接触(干渉)していないか?【特に危険!】
これはバンパーが内側にずれてしまい、ハンドルを切った時にタイヤと「ガリガリッ」と擦れてしまう状態です。

これを放置したまま走行を続けると、タイヤの側面が削れてしまう可能性があります。
当然、車検では厳しくチェックされるポイントであり、少しでもタイヤと干渉する可能性があるずれは、間違いなく不合格となります。

ポイント3:ライトの向きやナンバープレートの見え方に影響はないか?
これは「割れ」のケースと同じですが、「ずれ」によっても影響が出ます。
バンパーが下にずれてヘッドライトの光軸が上を向いてしまったり、横にずれてウインカーが見えにくくなったりすれば、もちろんNGです。

また、バンパーのずれに引っ張られて、ナンバープレートが傾いてしまい、文字や数字が正しく読み取れなくなっている場合も不合格の対象となります。

バンパーの割れは補修テープで直せば車検に通る?

検査官は、保安基準に照らし合わせて、シビアに「安全性」をチェックしています。

ポイント1:あくまで応急処置に過ぎない
車検というのは、検査の時点だけでなく、次の車検までの2年間、安全に走行できる状態かを確認するためのものです。
補修テープは、どれだけ強力なものであっても、雨風や紫外線、走行中の振動によって必ず劣化し、粘着力は落ちていきます。
いつ剥がれてもおかしくない応急処置は、恒久的な修理とは見なされず、整備不良と判断される場合がありす。

ポイント2:突起物の問題が解決しているか
前のセクションでもお話ししましたが、バンパーの修理で最も重要なのが鋭い突起物をなくすことです。
テープを上から貼ったとしても、その下の割れた部分が鋭利なままであれば、意味がありません。
万が一の衝突時、テープごと相手に危険を及ぼす可能性があります。
さらに、テープの端が中途半端に剥がれてくると、その剥がれたテープ自体が新たな突起物と見なされてしまうこともあります。

ポイント3:本来の強度や機能が回復しているか
バンパーは、単なる飾りではありません。
軽い衝撃を吸収し、ボディ本体や歩行者を守るという大事な役割を持っています。
テープで貼り合わせただけでは、その衝撃吸収能力は全く回復していません。
見た目はくっついていても、本来の強度は失われたまま。
これも安全な状態とは言えない、と判断される一因になります。

バンパー割れは修復歴になりますか?

バンパーの修理や交換をしただけでは、原則として『修復歴あり』にはなりません!
よく混同しがちですが、中古車査定の世界では修復歴と修理歴は明確に区別されています。

修理歴と修復歴の違い

  • 修理歴
    バンパーやドアの交換、ボディの擦り傷の板金塗装など、比較的軽微な修理を行った経歴のこと。
  • 修復歴
    車の骨格(フレーム)部分の交換や修理を行った経歴のこと。

車検に通すためにバンパーを修理したり、見た目をキレイにするためにドアを交換したりするのは、すべて修理歴にあたります。
一方で、修復歴がつくのは、事故などの大きな衝撃で、車の骨格そのものにダメージが及んでしまい、それを直した場合に限られるのです。

車の骨格ってどこ?

車の骨格とは、人間でいうところの骨です。
この骨にあたる部分を修理すると修復歴ありとなります。
具体的には、以下のようなパーツが該当します。

  • フレーム(車全体の土台となる骨組み)
  • フロントインサイドパネル(エンジンルームの左右の壁)
  • ピラー(フロントガラスやドアの横にある柱)
  • ルーフパネル(屋根)
  • トランクフロア(トランクの床) など

バンパーやドア、フェンダー、ボンネットといったパーツは、骨格を守るための外板部品と呼ばれ、人間でいえば皮膚のようなものです。
これらを交換・修理しても骨には影響がないため、修復歴ありにはならない、ということになります。

バンパーの割れが車検に与える影響は?│修理費用、エーミング

バンパーを補修テープで応急処置する

車両の安全維持におけるバンパーの役割
車検合格のためのバンパーの基準は?
バンパーが割れた場合の修理費用はいくらですか?
先進安全装置に関連するエーミング作業
総括│バンパーの割れが車検に与える影響は?

バンパーの割れをDIYで修理しても、結局車検不合格になり、後日再検査ということになる場合が多いです。
その手間やコストを考えると、しっかりと修理しておく判断が重要です。

車両の安全維持におけるバンパーの役割

現代の車のバンパーは、多くの、そして非常に重要な役割を担っているハイテク安全装置です。

役割1:クルマ自身を守る最初の盾
駐車する時などに軽くコツンとやってしまった際、ボディ本体に傷がつくのを防いでくれます。

昔の車はゴツい鉄製のバンパーが付いていましたが、今の車はほとんどが樹脂製(プラスチック)です。
これは、あえて柔らかく、そして割れやすく作られています。
なぜなら、軽い衝撃を受けた時にバンパー自身がしなったり、時には壊れたりすることで衝撃を吸収・分散するように作られています。
それによりその奥にあるヘッドライトやラジエーター、そして修理代が高額になりがちなボディ本体を守る身代わりの役割を果たしているからです。
バンパーだけの交換で済めば、ボディを板金塗装するよりずっと安く済みます。

役割2:歩行者を守る優しいクッション【最重要!】
万が一、人と接触する事故が起きてしまった場合、相手が鉄の塊にぶつかるのと、柔らかい樹脂にぶつかるのとでは、与えるダメージが全く違います。

現代のバンパーは、歩行者の足や腰に当たる部分の衝撃をできるだけ和らげ、相手の負う怪我を少しでも軽減するように設計されています。
あなたとあなたの車だけでなく、周りの人も守るための優しさの役割も持っています。

役割3:燃費と安定性に関わる空力の要
車の開発者は、風の流れ(空気抵抗)を徹底的に計算してバンパーをデザインしています。
バンパーの下部や側面でうまく風をいなし、車体が浮き上がるのを防いだり、燃費を向上させたりしています。
バンパーが割れたり、ずれたりして隙間ができると、そこから余計な空気が入り込み、高速走行時に車が不安定になったり、わずかですが燃費が悪化したりする原因にもなります。

役割4:先進安全技術を支えるセンサーの格納
最近の車は、自動ブレーキのミリ波レーダーや、駐車をアシストする超音波センサー(コーナーセンサー)が付いています。
その多くが、バンパーの内部や表面に埋め込まれています。

もしバンパーが割れたりずれたりすると、これらの精密なセンサーの角度が狂ってしまい、障害物がないのに警告音が鳴ったり、正しく作動しなかったりします。
バンパーは、今や車の目や耳を格納する、非常にデリケートな場所になっています。

車検合格のためのバンパーの基準は?

車検場でバンパーを確認する検査官

バンパーに関して車検で明確な合否基準は法律上定められていませんが、安全性や保安基準を満たしているかどうかが重要なポイントです。

具体的には、バンパーの形状や大きさについての細かい数値基準はありませんが、以下の条件が守られている必要があります。

  • 安全性が確保されていること
    バンパーに大きな割れや変形、鋭利な突起があり歩行者や他の車に危険を及ぼす恐れがある場合は車検に通りません。
    バンパーがぐらつく、固定が不十分な場合も同様です。
  • 車両の寸法に大きな変化がないこと
    バンパー交換やカスタムで車幅や車長が変わった場合でも、一般的には新車登録時との長さや幅が3cm以内の差であれば構造変更は不要で車検に通します。
    ただし、それを超える場合は構造変更申請が必要です。
  • 最低地上高の確保
    保安基準として、バンパーを含む車両の最低地上高が9cm以上(車高に含まれない樹脂製バンパーやエアロパーツでは5cm以上)であることが求められます。
    これを下回ると車検に通りません。
  • 周囲の保安基準に抵触しないこと
    バンパーによって前方視界が妨げられたり、ヘッドライトの光軸に影響が出る場合も車検不合格の原因になります。

このように、バンパーは「純正」か「社外品」かにかかわらず、安全性と保安基準を満たしていれば車検に通ります。
反対に破損による安全性の低下や保安基準からの逸脱があれば通らないため、車検前にバンパーの状態をよく点検し、必要に応じて修理や調整を行うことが大切です。

バンパーが割れた場合の修理費用はいくらですか?

バンパーが壊れたフォルクスワーゲン

損傷の具合と修理方法、車の種類によって、修理費用は違います。
ここでは、大体の費用の目安を、修理パターン別にご紹介します。

修理費用の目安

【パターン1】部分補修(リペア)の場合:15,000円 ~ 40,000円くらい
手のひらサイズの小さなひび割れや、軽いへこみ、擦り傷などで、バンパー交換までは必要ない場合の修理方法です。

割れた部分を溶かして繋ぎ合わせたり、専用のパテで埋めたりした上で、表面を滑らかに研磨し、周りの色に合わせて部分的に塗装(ぼかし塗装)します。

【パターン2】バンパー交換の場合:50,000円 ~ 150,000円くらい
バンパーが大きく割れていたり、変形がひどかったり、取り付け部分が破損してグラグラしている場合は、交換となります。
交換に使う部品によって費用が大きく変わります。(※車種によっては20万円を超えることも!)

交換に使う部品の種類

1.新品部品(純正品)
品質、色、フィット感ともに完璧ですが、価格は一番高くなります。
2.中古部品(リサイクルパーツ)
解体された車から取り外した、程度の良い部品です。
運良く同じ車種・同じ色のものが見つかれば、塗装代もかからず非常に安く済みます。
3.社外部品
純正メーカー以外が製造した新品部品です。
純正品よりは安価ですが、品質や取り付けの精度(チリが合わないなど)に若干の差が出ることがあります。

修理費用の内訳

  • 部品代
    バンパー本体の価格です。
  • 脱着工賃
    古いバンパーを外し、新しいバンパーを取り付ける手間賃です。
    センサー類が付いていると、さらに手間がかかります。
  • 塗装代
    これが意外と高額!
    新品バンパーは色が塗られていない「未塗装」の状態で届くことが多く、お車の色に合わせて一から塗装する必要があります。
    塗料代だけでなく、色を正確に作り出す調色という専門作業や、ホコリがつかないように塗装する専用ブースの使用料なども含まれます。
  • エーミング費用
    最近の車で特に注意が必要な費用です。
    自動ブレーキなどの安全装置に使われるセンサーがバンパーに付いている場合、交換後にそのセンサーが正しく作動するかを調整・校正するエーミングという作業が必須になります。

軽自動車やコンパクトカーなら比較的安価に収まることが多いですが、センサーがたくさん付いたミニバンや高級車、輸入車などでは、これらの費用が積み重なり、バンパー1本の交換で20万円を超えることも珍しくありません。

先進安全装置に関連するエーミング作業

近年の自動車には、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシストなど、安全運転支援機能を実現するためにレーダーセンサーやカメラがバンパー内部などに複数搭載されています。
これらのセンサーは車両の周囲状況を正確に捉え、衝突回避や自動制動を実現していますが、バンパーの修理や交換を行う際にこのセンサーの位置がずれてしまうと、正確な検知ができず誤作動や機能不全を引き起こす恐れがあります。

そこで必須となるのが、エーミング作業です。
エーミング作業とは、バンパー脱着や交換、フロントガラスの取り替え、さらにフレーム修正などセンサーの取り付け状態に影響を与える修理を行った後、専用機器を用いてセンサーの位置や角度を正確に校正・調整する作業のことです。

国土交通省の指導もあり、エーミング作業は法令で整備工場に義務付けられているため、車検や修理時に作業が必要になります。
例えば、トヨタ プリウスのバンパー交換後には、ミリ波レーダーの調整やクリアランスソナーの角度・高さ調整がエーミング作業として行われ、安全機能の正常復旧が確認されています。

先進安全装置搭載車の場合は、単にバンパーの割れや損傷を修理するだけでなく、安全装置が正しく作動するためにエーミング作業を実施することが重要です。
これにより、事故防止性能を維持し、車検にも問題なく合格することが可能になります。

総括│バンパーの割れが車検に与える影響は?

バンパーが割れていると、車検に影響を与える可能性があります。
安全性や車両の機能性が損なわれていると判断される場合には、修理が必要です。
軽微な損傷であれば応急処置で車検に合格することもありますが、正常な状態を保つことが重要です。

また、現代の車両には先進安全装置が搭載されており、バンパーの修理や交換後にはエーミング作業が必要となります。
これにより、センサーやカメラが正確に機能し、安全運転が確保されます。

修理費用は損傷の程度や修理内容によって異なりますので、事前に整備工場での確認と見積もりをお勧めします。
バンパーの状態を良好に保ち、安全で快適なドライブをサポートしましょう。

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