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エンジン始動時にブレーキペダルが重い?原因の特定と整備ポイント

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故障したブレーキブースターと新品の比較

「あれ?いつもと違う…」。
朝、エンジンを始動し、さあ出発!と思った矢先、ブレーキペダルが重く感じたら、どうしますか?

普段何気なく行っているブレーキ操作ですが、もしエンジン始動時にブレーキペダルが重いと感じたら、それは車が発する重要なサインかもしれません。
この、エンジン始動時にブレーキペダルが重いという現象、実は様々な原因が考えられます。

今回は、その原因を探り、安全な運転を取り戻すための対処法について詳しく解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、安全運転に役立ててください。

記事のポイント

エンジン停止時はブレーキブースターの負圧がなくペダルが重くなる
冬はブレーキフルードの粘度上昇でペダルが重く感じやすい
ブレーキペダルが硬い場合は踏み込み不足でエンジン始動できないこともある
ブレーキブースター不良はペダルが重くなり制動力低下を招く
ブレーキブースターの交換費用は車種や部品で幅があり数万円程度必要

エンジン始動時にブレーキペダルが重い?

アクセルとブレーキペダル

ブレーキが硬くてエンジンがかからないのはなぜですか?
冬エンジン始動時にブレーキペダルが重いのは?
ブレーキペダルを踏んだ時ふわふわするのはなぜですか?

エンジン始動時にブレーキペダルが重い場合、考えられる原因としては、ブレーキブースター(マスターバック)の不具合です。
また、ブレーキフルードの漏れや劣化、ブレーキキャリパーの固着、ブレーキホースの詰まりなど、様々なものが挙げられます。

ブレーキが硬くてエンジンがかからないのはなぜですか?

エンジンが停止している状態でブレーキペダルを踏むと、ブレーキペダルを補助するブレーキブースター内の負圧(エンジンが作り出す真空圧力)が失われています。
そのため、ブレーキペダルが非常に硬く、重く感じられます。
これはエンジンで発生する負圧を利用して、運転者がかける踏力を軽減しているためです。
エンジンがかかっていないことの補助が無くなり、純粋にマスターシリンダーを押す力だけでブレーキを踏む必要が出るためです。

また、多くの車は安全上の理由から「ブレーキペダルを確実に踏まないとエンジンが始動しない」仕組みになっています。
そのため、硬いペダルを十分に強く踏み込まないとエンジン始動ができません。
したがって、ブレーキペダルが硬い場合には、踏み込みが足りずにエンジンがかからない可能性もあります。
しっかりと踏み込むことでエンジンは始動しやすくなります。

なお、エンジン停止時にブレーキが硬くなるのは故障ではなく、正常な現象です。
ただし、ブレーキペダルが以前より明らかに硬くなってきている場合は、ブレーキブースターの故障やホースの損傷などの異常が考えられ、早めの点検・修理が必要です。

冬エンジン始動時にブレーキペダルが重いのは?

ブレーキを強く踏む

冬場のエンジン始動時にブレーキペダルが重く感じる主な理由は、寒さによってブレーキフルードの粘度が高くなり、ブレーキシステムの動きが鈍くなるためです。
冷えた状態ではブレーキフルードが硬くなって流れにくくなり、マスターシリンダーやブレーキライン内で圧力がかかりにくくなり、ペダルが重く感じられます。
また、ブレーキブースターはエンジンからの負圧を利用してペダルの踏力を軽減しますが、エンジン停止時はこの負圧が得られず補助が働かないため、さらに硬く感じることもあります。

さらに、冬の寒さでブレーキパッドやディスクに微細な水分や汚れが凍結・付着することでペダルが重く感じるケースもあります。
これらの影響でブレーキの動きが鈍くなり、ペダルの踏みしろが増え硬く感じられることがあります。
このような状態はエンジンがかかり、ブースターの負圧が戻ると通常は解消しますが、ブレーキシステムやブースターに故障がある場合は改善しないため点検が必要です。

ブレーキペダルを踏んだ時ふわふわするのはなぜですか?

ブレーキペダルを踏んだ時に「ふわふわする」感触がある場合、主に以下の原因が考えられます。

  1. ブレーキラインに空気が入っている(エア噛み)
    ブレーキフルードの量が減ったり、交換作業時に不適切なエア抜きが行われると、ブレーキライン内に空気が混入します。
    空気は液体と違い圧力を伝えにくいため、ペダルを踏んでもブレーキがすぐに効かず、踏み代が大きくなりふわふわした感触になります。
    何度か踏み込んで初めて効き始めることもあります。
  2. マスターシリンダーの故障
    マスターシリンダーは、ペダルの踏力を油圧に変換する重要な部品です。
    この部品に内部のシール不良や摩耗があると、油圧が安定せずペダルがふわふわした感じになります。
    マスターシリンダーの故障はブレーキ全体の効きにも悪影響を及ぼすため、早めの整備が必要です。
  3. ベーパーロック現象(ブレーキフルードの気泡発生)
    ブレーキを連続して多用し、摩擦熱でブレーキフルードが沸騰すると、内部に気泡が発生します。
    この気泡が油圧の伝達を妨げてしまい、ブレーキペダルがふわふわした感触となり、効きが低下します。
    特に長い下り坂などで多用した後に起こりやすいです。

エンジン始動時にブレーキペダルが重い?│ブースターの不良、交換費用

故障したブレーキブースターを点検する整備士

マスターバックの負圧抜けの症状は?
ブレーキブースターが不良だとどうなる?
ブレーキブースターの交換費用はいくらですか?
総括│エンジン始動時にブレーキペダルが重い?

エンジン始動時にブレーキペダルが重く感じられる場合、ブレーキブースターやマスターバックの不具合が潜在的な原因となります。
費用面に関しては、ブレーキブースター交換の場合、車種や部品、工賃によって異なりますが、数万円程度を目安として考えておくと良いでしょう。

マスターバックの負圧抜けの症状は?

マスターバックの負圧抜けが起きると、エンジン停止後にブレーキペダルが非常に重くなり、特に次回エンジン始動時にその症状が顕著になります。
これは、マスターバック内部のダイヤフラムがエンジンの吸気マニホールドからの負圧(真空)を利用してブレーキペダルの踏力を軽減する仕組みだからです。
負圧が抜けるとこの補助が効かず、ペダルが固くて重く感じられるのです。

具体的な症状としては以下のような特徴があります。

  • エンジンを停止後、数十分から1日程度時間が経つとブレーキペダルが極端に重くなる。
  • 次にエンジンを始動した直後も、ブレーキペダルの踏みしろがほとんどなく、強く踏み込まないとブレーキがかからない。
  • 走行中はエンジン負圧がかかりマスターバックが正常に作動するため、通常のブレーキの効きに戻る。
  • 負圧漏れやマスターバック本体の故障が疑われ、負圧ホースの亀裂やチェックバルブの不良も原因となる場合がある。

この負圧抜けの状態での運転はブレーキ操作が非常に重くなるため、症状が現れた場合は早めの点検・修理を推奨します。
修理は負圧ホースやチェックバルブの交換からマスターバック本体の交換まで範囲があり、費用は5〜6万円程度かかることもあります。

ブレーキブースターが不良だとどうなる?

ブレーキを強く踏んでる

ブレーキブースターが不良になると、ブレーキペダルが非常に硬く重くなり、踏み込んでも制動力が弱く感じられるのが主な症状です。
これはブレーキブースターがエンジンの負圧を利用してペダルの力を補助する機能を果たしているからです。
故障するとその補助が効かずマスターシリンダーへの力が不足し、ブレーキ液圧が十分にかからなくなります。
その結果、ブレーキの効きが悪くなり、制動距離が伸びてしまう状態になります。

具体的には、

  • エンジン始動時や低速走行時にブレーキペダルが普段よりも硬く、重く感じられる
  • ブレーキペダルを踏み込んでも十分に沈み込まず、ブレーキが利きにくい
  • ブレーキペダルの位置が通常より高い(踏みしろが少ない)状態になることがある
  • ペダル操作時に「シューッ」という負圧漏れ音が聞こえることもある
  • エンジンのアイドリングが不安定になる場合もある
  • ブレーキ警告灯が点灯するケースもある

このような症状が見られた場合は、負圧ホースの亀裂やチェックバルブの不良、あるいはブレーキブースター本体のダイヤフラム破損など内部故障が疑われます。
安全上、症状があれば速やかな点検・修理が必要です。

点検方法の一例としては、エンジン停止時に何度かペダルを踏み込み、エンジン始動後にペダルがスッと沈み込むか確認することがあります。
動きが無ければブレーキブースターの不良の可能性が高いです。

ブレーキブースターの交換費用はいくらですか?

ディスクブレーキを点検する

ブレーキブースター(マスターバック)の交換費用は、車種や部品のグレード、作業工賃などによって大きく変動します。
だいたいの費用感をつかんでいただくために、一般的な相場や費用の内訳についてご説明します。

費用の内訳

ブレーキブースターの交換費用は、主に以下の3つの要素から構成されます。

  1. ブレーキブースター本体の価格
    これは車種によって大きく異なり、軽自動車であれば1万円前後から、輸入車や大型車になると数万円以上するケースもあります。
    純正品か社外品かによっても価格が変わってきます。
    一般的に純正品の方が高価ですが、品質や信頼性の面では安心感があります。
  2. ガスケットやホースなどの部品代
    ブレーキブースター交換時には、同時にガスケットやホース類も交換することが一般的です。
    これらの部品代は数千円程度が相場です。
  3. 作業工賃
    ブレーキブースターの交換作業は、専門知識と技術を要します。
    作業時間は車種によって異なりますが、一般的に1~2時間程度かかります。
    工賃の相場は、1万円~2万円程度が目安となります。

合計費用

上記3つの要素を合計すると、ブレーキブースター交換にかかる費用は、軽自動車で2万円~3万円程度、普通車で3万円~5万円程度、輸入車や大型車で5万円以上になるケースもあります。

総括│エンジン始動時にブレーキペダルが重い?

エンジン始動時にブレーキペダルが重く感じられる主な原因は、ブレーキブースターの負圧が抜けていることにあります。

エンジン停止中にブレーキを踏みすぎたり、負圧ホースやチェックバルブの不具合でブースターの補助力が低下すると、ブレーキペダルが硬くなり、踏み込みにくくなるのです。
この症状は故障の前兆であり、エンジン始動後もしばらくペダルが重いままになるケースもあります。

また、ブレーキフルードの劣化や不足、ブレーキパッドやディスクの摩耗によってもペダルの踏み応えが変わり、重く感じることがあります。
こうした場合は、定期的な整備や部品交換が必要です。

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