プラグかぶりは、アクセルを全開にしてエンジンをかけることで改善できることがあります。
アクセル全開にすることで燃焼室に多くの空気が送り込まれ、過剰な燃料が燃えやすくなり、プラグに付着した燃料やカーボンが乾燥して点火しやすくなるためです。
しかし、この方法はあくまで軽度のプラグかぶりに有効な応急処置であり、重度の場合や繰り返すときはプラグの清掃や交換、点火系統の点検が必要になります。
安全に行うためには、周囲の確認とエンジン停止後の作業を心がけ、無理にセルを回し続けることは避けましょう。
記事のポイント
プラグ被りのとき、アクセル全開で始動を試みる方法は一時的な対策として有効
エンジンが温まる前の5分以内の短距離走行の繰り返しは、プラグ被りの原因
プラグの劣化、エアクリーナーの詰まりも、原因となる
急激な燃費低下、エンジンのかかりが悪い、エンジン警告灯が点灯するなどの症状
プラグ被りを放置すると、触媒に悪影響を及ぼし、高額修理になることも
目 次
プラグかぶりはアクセル全開で直る?

アクセル全開で始動を試みる方法は一時的な対策として有効ですが、根本的な解決にはなりません。
未然に防ぐためには、定期的なプラグや燃料システムの点検、短時間運転をしないなどが重要になります。
プラグ被りを引き起こす主な要因
プラグがかぶる、つまりスパークプラグが燃料で濡れてしまい、火花が飛ばなくなる現象は、様々な要因で起こります。
主な要因を理解することで、プラグ被りを防ぎ、快適なドライブを維持することに繋がります。
- 短距離走行の繰り返し
エンジンが十分に温まらないうちにエンジンを切ってしまう短距離走行を繰り返すと、プラグの温度が低温のままになり、燃料が気化しにくくなります。
これがプラグ被りの原因となることが多いです。
エンジンを始動したら、5分程度は走行、または掛けっぱなしにしましょう。 - アイドリング状態での長時間放置
アイドリング状態が長く続くと、燃焼室内の温度が低くなり、燃料の気化が不十分になります。
特に冬場など気温が低い時は、プラグ被りが起こりやすくなります。 - 適切でないプラグの使用
熱価が適切でないスパークプラグを使用していると、プラグ被りが起こりやすくなります。
エンジンの特性に合わない熱価のプラグを使用すると、プラグの温度が適正に保たれず、燃料が気化しにくくなります。 - 燃料系統の不調
インジェクターの不具合や燃料ポンプの不調など、燃料系統に問題があると、過剰に燃料が噴射され、プラグ被りの原因となることがあります。 - エンジンオイルの劣化/不足
エンジンオイルが劣化していたり、不足していると、エンジンの燃焼効率が悪くなり、プラグ被りを引き起こす可能性があります。 - チョークバルブの不調(キャブレター車の場合)
古いキャブレター車の場合、チョークバルブの不調により、燃料が過剰に供給され、プラグ被りを起こすことがあります。 - エアクリーナーの詰まり
エアクリーナーの詰まり、燃料ラインの詰まりも燃料供給バランスを崩し、プラグ被りの原因となります。 - プラグの劣化
プラグ自体が摩耗や汚れによって劣化している場合、適切な火花を供給できず、プラグが被ってしまうことがあります。
プラグのオイルがかぶりそうな症状は?
プラグのオイルかぶり、つまりスパークプラグにエンジンオイルが付着して火花が飛ばなくなる現象は、様々な症状を引き起こします。
これらの症状を早期に認識することで、適切な対処を行い、大きなトラブルを防ぐことができます。
- エンジンのかかりが悪い
エンジンをかけようとセルモーターを回しても、なかなかエンジンがかからない。
あるいは全くかからない場合は、プラグのオイルかぶりが疑われます。
特に、冷間時の始動性が悪い場合は、オイルかぶりの可能性が高いです。 - エンジン不調、アイドリングの不安定さ
エンジンがかかっても、回転数が不安定で振動が大きい、アイドリングが不安定、またはエンストしやすいといった症状が現れる場合も、プラグのオイルかぶりが考えられます。 - 加速不良、出力低下
アクセルを踏んでも加速が悪かったり、エンジン出力が低下している場合も、プラグのオイルかぶりによって正常な燃焼が行われていない可能性があります。 - 排気ガスの異常
白っぽい排気ガスが出ている場合は、オイルが燃焼室に入り込んでいる可能性があり、プラグのオイルかぶりの原因となることがあります。
また、黒っぽい排気ガスは、燃料が過剰に噴射されていることを示しており、これもプラグかぶりの原因となることがあります。 - エンジン警告灯の点灯
エンジン警告灯が点灯している場合は、様々な原因が考えられますが、プラグのオイルかぶりもその一つです。
警告灯が点灯したら、早めに整備工場で点検を受けるようにしましょう。 - 急激な燃費低下
燃費が急に悪くなった場合、燃焼効率が低下していて、正常な点火が行われていない可能性があります。
プラグがかぶりになった時の直し方は?

プラグがかぶりになった場合、以下の手順で解決を試みることができます。
- アクセルを全開にする
イグニッションをオンにしながら、アクセルペダルを全開にします。
これはアクセルを全開に踏み込むことでエンジンに入る空気量を増やし、燃料が濃過ぎて濡れてしまったプラグを乾燥させ、余分な燃料を燃焼させる効果が期待できます - エンジン始動
エンジンをかけてみます。
何度か試みて、始動しない場合は次のステップに進みます。 - プラグの点検と清掃
プラグを取り外し、その状態を確認します。
汚れや燃料で湿っている場合は清掃が必要です。
しかし、専用の工具が必要ですし、プラグの状態によっては交換が必要となるため、専門の整備工場やロードサービスに依頼するのが安心です。 - 清掃と乾燥
プラグの電極部分を丁寧に清掃し、完全に乾燥させます。
傷がある場合は、新しいプラグへの交換を考慮してください。 - プラグを戻す
清掃後、プラグをしっかりと元の位置に取り付けます。
アクセルを少し開けて、再びエンジンをかけます。
スムーズに始動するか確認します。
プラグかぶりでアクセル全開でもかからない場合は?
プラグかぶりが起きてアクセル全開でもエンジンがかからない場合は、軽度の燃料過多だけではなく、プラグ自体の汚れがひどいか、点火系統に故障がある可能性があります。
まずは無理にセルを回し続けるのを避け、プラグを外して乾燥・清掃するか、場合によっては新品に交換する必要があります。
また、点火コイルやイグニッションシステムの異常が原因で点火不良を起こしていることもあるため、専門的な点検を受けることが重要です。
- イグニッションコイルの故障
イグニッションコイルが故障していると、プラグに火花が飛ばず、エンジンがかかりません。 - クランク角センサーの故障
クランク角センサーが故障していると、エンジンの点火タイミングがずれてしまい、エンジンがかかりません。 - 燃料ポンプの故障
燃料ポンプが故障していると、エンジンに燃料が供給されず、エンジンがかかりません。
これらの原因を特定するには、専門的な知識と技術が必要です。
ご自身で判断せず、整備工場に相談することをおすすめします。
プラグかぶりはアクセル全開で直る?│機関への影響と予防

プラグかぶりは、エンジンの性能を低下させ、車両全体にさまざまな問題を発生させます。
燃費悪化、排気ガスの悪化、エンジンへのダメージなど、様々な悪影響を引き起こす可能性があります。
プラグかぶり放置するとどうなる?
プラグかぶりを放置すると、様々な不具合を引き起こし、快適なドライブを妨げるだけでなく、エンジンにも悪影響を与える可能性があります。
軽視せず、適切な対処をすることが大切です。
- エンジンがかかりにくくなる、またはかからなくなる
プラグかぶりを放置すると、エンジン始動が困難になります。
最初はかかりにくくなる程度でも、最終的には全くかからなくなる可能性があります。 - エンジン不調、アイドリングの不安定
プラグかぶりによって不完全燃焼が起こると、エンジンが不安定になり、振動が大きくなったり、アイドリングが不安定になったりします。
最悪の場合、エンストする可能性もあります。 - 加速不良、出力低下
プラグかぶりによってエンジンの出力が低下し、加速が悪くなります。
スムーズな加速ができなくなり、運転に支障をきたす可能性があります。 - 燃費悪化
不完全燃焼によって燃費が悪化します。
燃料を無駄に消費することになるので、経済的にも良くありません。 - 排気ガスの悪化
不完全燃焼により、有害物質を含む排気ガスが増加します。
環境への悪影響だけでなく、車検に通らなくなる可能性もあります。 - エンジンへのダメージ
プラグかぶりを長期間放置すると、未燃焼ガスが触媒に流れ込み、触媒の過熱や劣化を引き起こす可能性があります。
最悪の場合、触媒の交換が必要になることもあります。
また、エンジン内部にもカーボンが蓄積しやすくなり、エンジンの性能低下や寿命の短縮に繋がる可能性があります。
車両性能と部品に及ぼす具体的な悪影響

プラグかぶりは、エンジン性能の低下や部品の損傷など、車両に様々な悪影響を及ぼします。
【車両性能への悪影響】
- 出力低下・加速不良
プラグがかぶると、混合気の点火が不安定になる、もしくは点火しなくなるため、エンジンの出力が低下し、加速が悪くなります。
スムーズな運転ができなくなり、ストレスを感じるだけでなく、危険な場合もあります。 - 燃費悪化
不完全燃焼が起こるため、燃料が無駄に消費され、燃費が悪化します。 - アイドリング不調
エンジン回転数が不安定になり、振動が大きくなったり、エンストしやすくなります。 - 始動不良
プラグがかぶった状態では、エンジンがかかりにくくなる、あるいは全くかからなくなります。
【部品への悪影響】
- スパークプラグの劣化
かぶった状態が続くと、プラグの電極が腐食し、寿命が短くなります。 - イグニッションコイルへの負担増加
プラグの火花が弱くなると、イグニッションコイルに大きな負担がかかり、故障の原因となる可能性があります。 - 触媒コンバーターの損傷
未燃焼ガスが触媒に流れ込むことで、触媒が過熱し、損傷する可能性があります。
触媒は高価な部品なので、交換が必要になると修理費用が高額になります。 - O2センサーへの影響
O2センサーは排気ガス中の酸素濃度を測定するセンサーですが、不完全燃焼によって排気ガスの組成が変化するため、O2センサーの精度が低下したり、故障する可能性があります。 - エンジンオイルの劣化促進
未燃焼ガスがエンジンオイルに混入することで、エンジンオイルの劣化が早まります。
プラグ被りを未然に防ぐための対策

プラグかぶりは、ちょっとした心がけで未然に防ぐことができます。
- 定期的なプラグ交換
プラグは消耗品ですので、定期的な交換が必要です。
交換時期は車種やプラグの種類によって異なりますが、一般的には2万km~10万km程度が目安となります。
取扱説明書で推奨されている交換時期を確認し、適切な時期に交換するようにしましょう。 - エアフィルターの点検
エアフィルターの点検は3,000キロごと、燃料系統の点検は年に1回を目安に実施することで、燃料と空気のバランスを保ち、かぶりを防止します。 - 短距離走行を避ける
短距離走行を繰り返すと、エンジンが十分に温まらず、プラグの温度が低温のままになり、プラグかぶりが起こりやすくなります。
どうしても短距離走行が多い場合は、定期的に長距離走行を行い、エンジンをしっかりと温めるようにしましょう。 - アイドリング時間の短縮
アイドリング状態が長く続くと、燃焼室内の温度が低くなり、プラグかぶりが起こりやすくなります。
特に冬場など気温が低い時は、アイドリング時間を短縮するように心がけましょう。
暖機運転はほどほどに。 - 適切なエンジンオイルの管理
エンジンオイルが劣化していたり、不足していると、エンジンの燃焼効率が悪くなり、プラグかぶりが起こる可能性があります。
定期的にエンジンオイルの量と状態をチェックし、必要に応じて交換または補充を行いましょう。 - 燃料系統のメンテナンス
燃料系統に問題があると、過剰に燃料が噴射され、プラグかぶりの原因となることがあります。定期的に燃料フィルターを交換したり、インジェクターの清掃を行うことで、燃料系統の不調を予防することができます。 - 始動時のアクセル操作
エンジン始動時に必要以上にアクセルを踏むと、燃料が過剰に噴射され、プラグかぶりの原因になることがあります。
特に、最近の車は電子制御されているため、始動時にアクセルを踏む必要はありません。
総括│プラグかぶりはアクセル全開すれば直る?
プラグかぶりはアクセル全開で直る場合もありますが、あくまで軽度のかぶりに対する応急処置です。
アクセルを全開にして空気を多く燃焼室に送り込み、余分な燃料を燃やしプラグを乾燥させることで、エンジン始動を促します。
ただし、重度の場合やプラグの汚れ・故障がひどい場合は、この方法だけで直らず、プラグの清掃や交換、点火系の点検が必要です。
無理にセルを回し続けるとバッテリーを痛める恐れもあるため、状況によっては専門整備工場での診断・修理をおすすめします。
定期的なメンテナンスと適切な運転が、プラグかぶりの予防と早期対処につながります。