皆さんは、愛車のブレーキシステムについてどれくらいご存知でしょうか?
ブレーキには、ディスクブレーキとドラムブレーキの2種類があり、特に後輪に採用されていることが多いドラムブレーキは、その構造上、摩耗の確認が少し難しいパーツです。
そのため、ついつい交換を先延ばしにしてしまいがちですが、安全な走行のためには、定期的な点検と適切な時期での交換が不可欠です。
この記事では、ドラムブレーキの交換時期の判断方法、交換にかかる費用、そして交換方法の概要について詳しく解説していきます。
ご自身で交換に挑戦したい方のために、作業手順もご紹介しますが、ブレーキは安全に直結する重要な部品です。
作業に自信のない方は、無理せず専門の整備工場に依頼することを強くお勧めします。
この記事を通して、ドラムブレーキへの理解を深め、安全で快適なカーライフにお役立てください。
記事のポイント
ドラムブレーキは車検時に点検する
キーキーやゴトゴトといった異音がしたら、専門業者で点検を
ブレーキペダルの踏みしろが以前より深くなった場合も要点検
ドラムブレーキ調整は1台あたり5,000円程度が一般的
目 次
ドラムブレーキの交換はいつすればいい?

日々の運転で確実に機能するためには、定期的な点検・交換が必要不可欠です。
しかし、どのタイミングで、どのように交換をすれば良いのかを知っている方は意外と少ないかもしれません。
ドラムブレーキの交換時期は?
ドラムブレーキは、ディスクブレーキと異なり、摩耗の確認が少し難しいパーツです。
そのため、ついつい交換を先延ばしにしてしまいがちですが、安全な走行のためには定期的な点検と適切な時期での交換が不可欠です。
具体的な交換時期の目安は、以下の通りです。
- 定期点検のタイミング
定期点検のタイミングで、ブレーキの状態をチェックしてもらうのも良いでしょう。
プロの目で点検してもらうことで、自分では気づきにくい摩耗や不具合を早期に発見することができます。 - 車検時の点検
車検時にはブレーキの点検が義務付けられています。
この際に、ブレーキライニングの残量やブレーキ機構全体の状態がチェックされます。車検時に交換を勧められた場合は、安全のためにも交換するようにしましょう。 - 年数
たとえ走行距離が少なくても、長期間使用している場合や車両が旧式の場合は、ブレーキの消耗部品が劣化していることが考えられます。
ドラムブレーキは、安全に車を止めるために非常に重要な部品です。上記の項目を参考に、定期的な点検と適切な交換を行い、安全なカーライフを送りましょう。
ドラムブレーキの交換目安は?
ドラムブレーキの交換目安は、車の使用状況や条件によって異なりますが、一般的な目安として以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- ブレーキライニングの残量
ドラムブレーキの交換時期を判断する上で最も重要なのは、ブレーキライニング(ブレーキシュー)の残量です。
ライニングの厚みが新品時の1/3以下、もしくは約1mm以下になったら交換が必要です。一部のブレーキシューには、摩耗限界を示す溝やリベットが設けられています。
これらが露出してきたら、即座に交換しましょう。 - ブレーキペダルの踏みしろ
ブレーキペダルを踏んだ際の踏みしろが以前より深くなったと感じたら、ブレーキライニングの摩耗が疑われます。
特に、踏みしろが徐々に深くなっていく場合は要注意です。
整備工場で点検を受け、必要であれば交換を検討しましょう。 - ブレーキの効きが悪い
制動距離が伸びた、ブレーキの効きが弱くなったと感じた場合も、ブレーキライニングの摩耗、もしくはブレーキ機構の不具合が考えられます。
また、クルマが左または右に引っ張られる感じがある場合は、ドラムブレーキに問題が発生している可能性があります。
放置すると重大な事故につながる可能性がありますので、すぐに整備工場で点検してもらいましょう。 - ブレーキ鳴きや異音
キーキーという甲高いブレーキ鳴きや、ゴトゴト、ガリガリといった異音が発生する場合は、ブレーキライニングの摩耗が限界に達している可能性があります。
または、ブレーキドラムの摩耗や変形、ブレーキ部品の破損なども考えられます。
異音の種類に関わらず、早急に整備工場で点検を受けることをお勧めします。 - 走行距離の目安
一般的には、3万km~5万kmを目安に点検し、必要に応じて交換するのが良いでしょう。
ただし、走行条件や運転の癖によって摩耗の速度は大きく異なります。
山道や下り坂の多い道を頻繁に走行する場合は、より早い段階で摩耗する可能性があります。 - 運転環境
山道や、頻繁なブレーキ操作が必要な都会での運転が多い場合は、早めの交換を検討ください。
これらの条件下では、ブレーキの使用頻度が高まるため、摩耗が早まる傾向があります。
ブレーキは命を預ける重要な部品であるため、定期的に専門店での点検やメンテナンスを受けることをお勧めします。
ブレーキシューの交換時期は音でわかる?
ブレーキシューの交換時期を音で判断することは、実際には有効な方法の一つです。
ブレーキシューが摩耗している際には、以下のような音が発生することがありますので、そのサインに注意を払いましょう。
- キーキー音
ブレーキを踏んだときに甲高いキーキー音がする場合、ブレーキシューの摩耗警告サインです。
この音は、シューが充分に擦り減り、金属性の警告ピンやインジケーターがドラムに触れることで発生します。
この音が聞こえるようになったら、ブレーキシューを早めに点検・交換することをお勧めします。 - ゴリゴリ音
より深刻な場合、ブレーキシューが完全に摩耗して金属部分がドラムと直接接触していると、ゴリゴリあるいは擦れるような音がします。
この状態になると、ブレーキドラム自体が損傷する可能性が高く、交換の費用が大幅に高くなることから、ただちに整備士に相談し点検することが重要です。 - 異常な静けさ
一方、通常のキーキー音がまったくしなくなった場合も注意が必要です。
特に以前に異音がしていた場合、磨耗が進行しすぎて警告音が出なくなった可能性があるため、こちらも点検が必要です。
車のブレーキシステムに関する音は、早期に問題を察知し、安全性を維持するための重要な指標です。
少しでも普段と違う音が聞こえるようになった場合は、迷わずプロの整備士に相談し、早期点検を受けることをお勧めします。
音に敏感になることで、重大なブレーキシステムのトラブルを未然に防ぐことができます。
ドラムブレーキの交換はいつすればいい?│交換方法、費用

ドラムブレーキの交換にはいくつかの手順がありますが、正確かつ安全に作業を行うためには専門的な技術と経験が不可欠です。
ドラムブレーキの交換方法は?
ドラムブレーキの交換は、安全に直結する重要な作業です。
専門的な知識と技術が必要となるため、自信のない方は整備工場に依頼することを強くお勧めします。
ここでは、作業の大まかな流れと注意点について解説します。
作業を行う場合は、必ず整備マニュアルを参照し、自己責任で行ってください。
- 準備
・必要な工具
ドラムブレーキ交換に必要な工具を揃えます。
一般的な工具としては、ホイールレンチ、ジャッキ、ウマ、ドライバー(プラスとマイナス)、プライヤー、ブレーキスプリングプライヤー、ハンマー、ブレーキクリーナー、グリスなどが必要です。
車種によっては、特殊工具が必要な場合もあります。
・安全確保
平坦で安全な場所に車を停め、パーキングブレーキをかけ、輪止めを設置します。ジャッキアップする際は、ウマを必ずかけ、安全を確保してください。
・部品の準備
新しいブレーキシュー、必要に応じてブレーキドラム、ブレーキホース、ホイールシリンダーなども用意します。 - ドラムの取り外し
・ホイールナットを緩め、ジャッキアップしてタイヤを取り外します。
・ブレーキドラムを固定しているボルトやピン、ナットなどがあれば取り外します。
・ブレーキドラムを車体から引き抜きます。
固着している場合は、ハンマーで軽く叩いたり、専用のプーラーを使用します。
無理にこじると破損の恐れがありますので、注意が必要です。 - ブレーキシューの取り外し
・ブレーキスプリングプライヤーを使用して、ブレーキシューを固定しているスプリングやピン、クリップなどを取り外します。
スプリングは勢いよく外れる可能性がありますので、顔や目を保護するためにゴーグルなどを着用することをお勧めします。
・ブレーキシューの自動調整機構を外します。
車種によって構造が異なりますので、整備マニュアルをよく確認してください。
・ブレーキシューをドラムブレーキから取り外します。 - 新しいブレーキシューの取り付け
・新しいブレーキシューをドラムブレーキに取り付けます。
・自動調整機構を取り付け、調整を行います。
・スプリング、ピン、クリップなどを元通りに取り付けます。
取り付け方向や位置を間違えないように注意が必要です。
・ブレーキクリーナーでブレーキドラム内部を清掃します。 - ドラムの取り付け
・ブレーキドラムを車体に取り付けます。
・固定用のボルトやピン、ナットなどがあれば取り付けます。 - タイヤの取り付け
・タイヤを取り付け、ホイールナットを仮締めします。
・ジャッキを降ろし、ホイールナットを規定トルクで本締めします。 - 動作確認
・ブレーキペダルを数回踏み込み、ブレーキの効き具合を確認します。
・試運転を行い、異音やブレーキの引きずりがないか確認します。 - その他の注意点
・ブレーキフルードの交換が必要な場合もあります。
・作業後は必ずブレーキのエア抜きを行いましょう。
・ブレーキは安全に直結する重要な部品です。
作業に不安がある場合は、必ず整備工場に依頼してください。
・作業中は、ブレーキ部品に油脂類が付着しないように注意しましょう。
この説明は一般的なドラムブレーキの交換手順であり、車種によって異なる場合があります。
作業を行う際は必ず整備マニュアルを参照し、自己責任で行ってください。
安全のためにも、専門知識と経験を持つ整備士に依頼することをお勧めします。
ブレーキドラム交換の費用は?
ブレーキドラムの交換費用は、車種や交換する部品の種類によって異なります。
ここでは、一般的な費用の目安を説明します。
- ブレーキシュー(ブレーキライニング)交換の費用
ブレーキライニングの交換は、一般的に1セットで12,000円から15,000円程度が目安です。
この費用には部品代と工賃が含まれます。 - ホイールシリンダー関連の費用
ホイールシリンダーの交換は10,000円からで、オーバーホールの場合は17,000円程度が一般的です。
ホイールシリンダーの交換は、ブレーキの性能に影響を与えるため、必要に応じて行います。 - ブレーキドラムの交換費用
ブレーキドラム自体の交換は比較的高価で、車種によって大きく異なりますが、一般的な価格帯は20,000円から50,000円程度です。
ただし、具体的な価格は車種によって変動します。 - ブレーキ調整やオイル交換の費用
ブレーキ調整は1台あたり5,000円程度が一般的です。
ブレーキオイル交換も必要な場合は、追加で6,500円程度の費用がかかります。 - 全体的な費用
ドラムブレーキ全体の交換や調整を含む場合、全体的な費用は数万円になることがあります。
具体的な費用は、車種や必要な作業内容によって異なります。 - 部品代と工賃
交換される部品の価格は、車種やメーカーによって異なります。
DIYで部品を購入する場合は、工賃が抑えられますが、作業の専門性が必要です。
このように、ブレーキドラムの交換費用は部品の種類や車種、作業内容によって大きく変動します。
具体的な費用については、車両の種類や作業範囲を考慮して、専門の整備工場に相談することをお勧めします。
総括│ドラムブレーキの交換はいつすればいい?
この記事では、ドラムブレーキの交換時期、交換費用、そして交換方法について解説しました。
ドラムブレーキは車の安全に直結する重要な部品です。
定期的な点検と適切な時期での交換が、安全なカーライフを送る上で不可欠です。
ブレーキの効きが悪くなった、異音がする、ブレーキペダルの踏みしろが深くなったなど、少しでも異変を感じたら、すぐに整備工場で点検を受けましょう。
ブレーキ鳴きだけで交換時期を判断するのは難しいため、複数の要素を組み合わせて判断する必要があります。
ドラムブレーキの交換は専門的な知識と技術を要する作業です。
知識と適切な工具を持たない場合は、専門の整備工場に依頼することをお勧めします。